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フロンターレの“主”を狙う田中碧。
トゥーロン優秀選手が増す逞しさ。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2019/07/14 09:00
フロンターレの中盤はJリーグ屈指の激戦ポジションだ。そこで田中碧は自らの存在価値を示す必要がある。
“奪い切る”守備を意識して。
大会から帰国後、意識は明らかに変わってきている。
トゥーロン国際大会では攻撃面の良さが見えた一方、守備面では課題があった。
特にブラジル戦で「ボールを取れなかったし、自分たちは全部取られた印象がある」と言うように、“奪い切る”守備の向上は必須な点でもあった。
それを理解した上で「奪い切るという面で、その回数、よりクリーンに前向きに奪うところは意識している」と言い切るように、ボール奪取の回数は着実に増えてきている。
「オレに預ければなんとかなる」
また初の“日本代表”というものが自覚を促すことにも繋がった。
川崎では大島僚太や中村憲剛、家長昭博といった偉大な先輩たちについていけばいい、という感覚だった。しかし普段一緒にプレーしていないU-22日本代表では、ボランチに入る自分が中心にならないといけない状況に置かれた。
だからこそトゥーロンで口にした言葉は、田中の新たな一面を覗かせるに至った。
「川崎ならば、どうしても周りにやってもらえる感じがあるし、運ぶ過程だけでボランチは済んでしまうところがある。でも、代表ではそうはいかない。いい意味でチャレンジできるし、自分が全てをやらないと後ろから前にボールが進んでいかないと思っている。困ったら『オレに預ければなんとかなる』ぐらいの信頼感を得なければいけないかなと思います」
誰かに頼るのではなく、自分が中心になってやっていく。
それはクラブでも一緒だ。脇役ではなく、主役のひとりとしてピッチに君臨する必要がある。