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村田諒太、運命の再戦に勝算は。
「勝ち方は関係なし、勝てばいい」 

text by

渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2019/07/11 12:10

村田諒太、運命の再戦に勝算は。「勝ち方は関係なし、勝てばいい」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

村田諒太の表情は険しく、しかし朗らかだ。ミドル級という世界最激戦区の1つで戦う男の戦いを見届けたい。

強い一発から、コンビネーションへ。

 トレーニングのテーマは「変わる」だ。棒立ち状態を克服するために、四方にロープを渡したリングでダッキング、ウィービングを繰り返した。ミット打ちを田中繊大トレーナーからカルロス・リナレス・トレーナーに代えたことは「変わる」を強く意識付ける意味もあったに違いない。

 3階級制覇王者、ホルヘ・リナレスの弟であるカルロス・トレーナーのミット打ちは俊敏に動きながらブラントのスピードを意識させ、細かいコンビネーションを繰り返し打たせるというもの。

 昨年10月の試合前、いかに体重の乗った強いパンチを打つかに腐心していたミット打ちとは、与える印象がかなり違う。

 村田はこの2カ月、練習の取材に訪れる報道陣に「トレーニングはうまくいっている。自信はある」と言い続けた。強がりではなく、本音と受け取れた。同時に「練習でうまくいっているからといって、試合で出なければ意味がない」と付け加えることも忘れなかった。

 そうなのだ。入念な準備はリベンジの大前提だとしても、実際の試合で力を出せるかが問題である。

ブラントはさらなる加速の準備中。

 ブラントは昨年10月と同様、武器である手数と機動力、スピードで勝負してくるだろう。第1戦でうまくいったのだ。わざわざ変える必要はない。もちろんブラントは村田が何らかの対策を講じてくることもしっかり頭に入れている。

「村田は前回の試合よりも手数、スピードがアップしてくると思う。それに対する準備はしてきた。私にパンチを当てることはできないでしょう」

 村田がより圧力を強めてくれば、前回よりも速く動き、前回よりも数多くパンチを打って対抗しようというのがブラントの考えだ。強化ポイントを問われ「スタミナ」と即答したのはその証と言えるだろう。

【次ページ】 ブラントに楽をさせず、終盤勝負。

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