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村田諒太、運命の再戦に勝算は。
「勝ち方は関係なし、勝てばいい」
posted2019/07/11 12:10
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
WBA世界ミドル級タイトルマッチ、王者のロブ・ブラント(アメリカ)と挑戦者の村田諒太(帝拳)の再戦が12日、エディオンアリーナ大阪で行われる。村田は王者だった昨年10月、伏兵と見られたブラントによもやの完敗を喫して王座陥落。満を持しての雪辱はなるのか。試合の行方を占った─―。
村田は勝てるのか? この数カ月間で何度も聞かれた質問だ。答えは「イエス」とも「ノー」とも簡単には言えない。少なくとも自信を持って「イエス」と答えるのは難しい。
理由は言うまでもなく昨年10月の第1戦の内容にある。9カ月前、ラスベガスのリングは村田にとって、日本のボクシングファンにとってまさに悪夢だった。ブラントにスピードと手数で先手を取られると、村田はそのままズルズルとリズムを失った。なんとか立て直そうと前に出るも、単調な攻撃は通じなかった。
「棒立ち状態で前に行って、相手のパンチをポカポカともらって、たまに出してくるワンツー、スリーの3つ目で顔を跳ね上げられた」(村田)
終盤はブラントのパンチを面白いように浴びた。読み上げられたスコアは119-109×2、118-110。村田は12ラウンドにわたり、ブラントに1262発ものパンチを打ち込まれ、痛めつけられたのである。いわゆる「ポカ」で敗れたのではなく、フルラウンド戦っての敗戦だから痛かった。
世界を獲った時の再戦とは意味が違う。
村田は2017年に世界タイトルを獲った際、第1戦で敗れたアッサン・エンダムに雪辱してベルトを腰に巻いた。しかし、あの第1戦は「村田が明らかに勝っていた」という見方が多数を占める内容。今回とはまったく状況が違うのである。
難しいミッションであることは、村田本人が一番分かっている。だからこそ、屈辱的な前回の試合を繰り返しチェックし、改善点を見出し、日々の練習にフィードバックした。今回の試合にかける意気込みは並々ならぬものがある。
村田はリベンジのポイントを簡潔に述べている。
「まず1つは棒立ちの状態にならないこと。しっかり足腰に力がある状態でプレッシャーをかけて、上下をしっかり打つこと。そこがキーになると思う」