沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
セレクトセールが新記録205億円。
長者番付13位の富豪も競馬界参入。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2019/07/10 17:30
キタサンブラックの引退から1年半、早くもその仔たちがセレクトセールに登場した。出走は早ければ再来年の夏だ。
世界のどこにもこんなセリはない。
日本競走馬協会会長代行の吉田照哉・社台ファーム代表はこう総括した。
「外国から来たお客さんも、世界中どこにもこんなセリはないと驚いていました。ノーザンファームはたくさんの馬を売ったり買ったりしているなかで、一番いい馬をここに出している。現実に、このセリ出身の馬が走っていますよね」
例えば、2016年の毎日王冠などを勝ったルージュバックはノーザンファームと関係の深いキャロットクラブの所有馬で、一口馬主となる会員に1口6万円で400口販売された。馬代金は2400万円。
そのきょうだいを見ると、'15年に生まれた半弟まではキャロットクラブに所属していたが、'17年に生まれた半弟のポタジェは昨年のセレクトセール1歳馬部門で1億9000万円、今年の1歳馬部門に上場された半弟のジンジャーパンチの2018は2億9000万円で落札されている。
ノーザンファームにとっては、クラブで実績を残した馬の弟や妹をセレクトセールでより高く売ることができるし、バイヤーにとっては、走る可能性の高い良血馬を購買するチャンスとなるわけで、それが上手く回っている。
ディープは7000万円で落札された。
吉田氏はさらにつづけた。
「今年は、中間ぐらいの馬が高くなりましたね。例年なら3000万円ぐらいで落ち着くのが、4000万、5000万と上がっていった。平均価格が5000万円なんて、あり得ないですよ(笑)。馬主はやはり一番の馬がほしいでしょうし、競馬場で結果に白黒がつく。馬を買った人にはやめられない魅力があるということでしょうね」
ディープインパクトも、'02年のセレクトセール(当歳)で7000万円で落札された馬だ。
今年新たなオーナーの決まった馬たちから、第2、第3のディープインパクトが現れるか、注目したい。