“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
球宴ファン投票に見るドラフト寸評。
パ優勢の要因は高卒投手指名の多さ?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byAFLO
posted2019/06/30 11:30
即戦力候補として注目される森下暢仁(明治大)。傾向で見ると、指名はセ・リーグに集中?
一方で、セ投手の育成には遅れも。
ピッチャーにもう一度注目すると、先発投手のファン投票1~10位の中にセの高卒はオリックスから移籍してきたばかりの西勇輝(阪神)しかいなかった。大瀬良、菅野、今永、原、青柳晃洋(阪神)、柳、石川は大卒、吉見は社会人出身。
パは千賀、山本由、涌井秀章(ロッテ)、今井達也(西武)、上沢の5人が高卒だ。
ここで、セの最近5年間のドラフトを振り返ってみる。
1位で野手の高卒は岡本、村上、中村奨成(広島・'17年)、小園海斗(広島・'18年)、根尾昂(中日・'18年)と5人いるが、投手は小笠原慎之介(中日・'15年)と寺島成輝(ヤクルト・'16年)の2人しかいない。
パは野手がオコエ瑠偉(楽天・'15年)、平沢大河(ロッテ・'15年)、清宮幸太郎(日本ハム・'17年)、安田尚憲(ロッテ・'17年)、太田椋(オリックス・'18年)、藤原恭大(ロッテ・'18年)と6人いて、投手も安樂智大(楽天・'14年)、高橋光成(西武・'14年)、松本裕樹(ソフトバンク・'14年)、高橋純平(ソフトバンク・'15年)、藤平尚真(楽天・'16年)、今井達也(西武・'16年)、堀瑞輝(日本ハム・'16年)、吉住晴斗(ソフトバンク・'17年)、吉田輝星(日本ハム・'18年)と9人を数える。
高卒投手の指名が目立つパ・リーグ。
私は近年のパ・リーグ優位の原因はドラフトでの高校生の指名数の違いが最も大きいと思っている。
高卒の1位指名の野手ではセ・リーグの健闘が目立つが、投手の部門ではパに及んでいない。高卒は失敗する危険性は高いが、現役メジャーリーガーのダルビッシュ有、田中将大、菊池雄星、大谷らはパ球団が指名した高卒選手である。
“ハイリスク・ハイリターン”の高卒を積極的に獲りに行っているのがパ・リーグで、近年のパ対セの勝負は、交流戦も日本シリーズもことごとくパに軍配が上がっている。