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スキージャンプ・高梨沙羅の新境地
「強い気持ちを持つことが勝利につながる」
 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/07/03 11:00

スキージャンプ・高梨沙羅の新境地「強い気持ちを持つことが勝利につながる」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

オンとオフの切り替えと、美容への気配り。

 メンタルを強化する上で、もう一つ大切にしているのがオンとオフの切り替えです。練習や競技に向き合っている時と、普段の生活との切り替えをしっかりすることによって、オンの状態になった時により深く入り込めるんです。最近では、普段の生活のことを考えたり、美容に気を配ってみたりすることで、だいぶオフへの切り替えがうまくできるようになってきたと思っています。

 以前『嫌われる勇気』という本を読んだのですが、その本が自分の考え方次第で周りが変わっていくという内容だったんです。一般の生活においても大切なことだと思いますし、競技のことに転換して考えると、精神面をしっかりと持って、自信を持って飛ぶことでいい方向に導いていけることだと思ったんです。自分をいい方向に導くか、ミスを犯したことでドツボにハマるかは自分次第だなとすごく腑に落ちました。先輩アスリートの方からのアドバイスも勉強になっています。とくにドジャースにいる前田健太投手には、競技人生において糧になるお話をたくさんしていただきました。なかでもその地に順応していく対応力の必要性というのは、今の自分にすごく響いています。

 一方で強みを挙げるとしたら、練習でミスをしても対応策やアイデアがポンと降ってくること。アイデアの引き出しをたくさん持っていると感じているし、自分のなかではそれがないとジャンプが成り立っていかないと思っています。

 私が憧れる女性は信念を持って、そこに突き進んでいる凛とした人。強い気持ちを持って、そんな芯のある女性に私もなれればいいなと思っています。

高梨沙羅

高梨 沙羅Sara Takanashi

1996年10月8日、北海道生まれ。8歳でスキージャンプを始める。2012-2013シーズンのW杯で史上最年少16歳4カ月で総合優勝を達成。2012年から世界ジュニア選手権を3連覇。2014年ソチ五輪4位。雪辱を誓った2018年平昌五輪では女子日本勢初となる銅メダルを獲得。昨シーズンまでにW杯で男女通じて歴代最多56勝を挙げ、今シーズンもさらなる更新が期待される。

新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第62回:高梨沙羅(スキージャンプ)

7月5日(金) 22:00~22:24

スキージャンプの高梨沙羅選手は10代前半から頭角を現し、2018年平昌五輪で念願の銅メダルを獲得。W杯歴代最多56勝を挙げ、男女通じて最多を記録している。競技に関する話はもちろん、最近ハマっているというフィルムカメラを通して感じている“シナリオのない人生のリアル”とは?

第63回:織田信成(フィギュアスケート)

7月12日(金) 22:00~22:24

フィギュアスケート選手として2010年バンクーバー五輪7位入賞の織田信成さん。涙もろく人目を憚らずに号泣するイメージが強いですが、その裏にある涙へのエピソードとは? そして、現役を引退した今は食べることが何よりも楽しみと語る彼のパンケーキ愛にも迫ります。

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