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「プロレスを探す旅」に出発した、
飯伏幸太が見つけた最終目的地。 

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byEssei Hara

posted2019/06/28 12:00

「プロレスを探す旅」に出発した、飯伏幸太が見つけた最終目的地。<Number Web> photograph by Essei Hara

7月から「G1 CLIMAX 29」が開幕。前回大会で飯伏は準優勝を果たしている。

「フリーの3年間は本当に不自由でした」

 あれから3年が経った。

 この春、新日本プロレスの所属レスラーとなり、死ぬまで新日本というひとつのリングに身を捧げると誓った彼が、再び紀尾井町へとやってきた。

 プロレス総選挙ファイナルのインタビュー。その冒頭で彼はこう言った。

「フリーだった、あの3年というのは本当に不自由でした。今が一番、自由なんです」

 物質的な不自由のなかに、真の自由を見つけた。インタビューはそういう飯伏の言葉の謎を解いていくような内容だった。

 すべてを聞き終わってわかった。彼はついに旅の最終目的地を見つけたのだ。帰るべきリングを手に入れたのだ。

 今回、飯伏は編集部には何も残すことなく、晴れ晴れと去っていった。部員たちが休憩に使うソファの脇には、ただの人形に戻ったなんば君がぐにゃりと座っている。

 そういえば……。いつからか、ホワイトボードからは、飯伏幸太の名前も、「プロレスを探す旅」というメッセージも消えていた。

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