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<JTマーヴェラスを支える未来の力>
「新世代躍動」 林琴奈×ヒックマン・ジャスティス×西川有喜
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byMakoto Hada
posted2019/07/11 11:00
写真右から林琴奈、ヒックマン・ジャスティス、西川有喜。
重要な場面で頼れるエースに。
西川有喜
今年、JTマーヴェラスに加わった身長180cmの大型新人、西川有喜は、小学生の頃から“エース”と呼ばれてきた。
金蘭会高校では、1年の春高バレーで高い得点力を発揮し攻撃の中心に。2年から名門のエースという重圧を背負い、3年の春高バレーで大会2連覇を成し遂げた。
「エースはチームの象徴。エースがチームを勝たせることもできるし、エースのせいで負けることもあるというのを、すごく感じながら過ごせた2年間でした」
しかし西川は、「私はあまりエースらしくないんです」と小さな声で打ち明ける。
「気持ちが強くないというか、リーダーシップが足りないんです。自分からガツガツ行くタイプじゃないので」
大舞台は好きだ。少し緊張はするが、ワクワクする気持ちが勝り、楽しみながらプレーできる。ただ、西川のトレードマークは周りを和ませる笑顔。闘志を前面に出して周囲を鼓舞するタイプではない。
高校時代は金蘭会の池条義則監督に、エースとしてもっと引っ張る存在になれと口酸っぱく言われたが、殻を破ることはできなかった。
「もっと自分から指示を出さなきゃいけないんですが、みんなにどうしてほしい、というのを伝えるのが下手くそなんです」
「マコさんの声かけはすごい」
リーダーシップとは何か、どんな風に周りに働きかければいいのか。西川は、JTマーヴェラスでその答えを見つけた。主将でリベロの小幡真子の姿である。
「マコさんの声かけはすごい。発する言葉に重みがあって、マコさんが強く言うことで、みんながやる気になったり、引き締まったりするんです」
今季は主将の姿を見ながら、周囲に自分のエネルギーや思いを伝えるすべを学ぶ。
プレーで取り組んでいるのは、持ち味の高さに加え、パワーを身につけることと、バックアタックの習得、守備力の強化だ。
「JTではミドルやライト、バックアタックなど、(高校時代より)攻撃のバリエーションが増えているけど、その中でもスタートの1点目や、苦しい場面の1点、ここぞという重要なポイントで、『この人に上げたい』と思ってもらえる選手になりたいなと思います」
笑顔の奥に強さを秘めたJTの新エースへ。西川はその一歩を踏み出す。