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<JTマーヴェラスを支える未来の力>
「新世代躍動」 林琴奈×ヒックマン・ジャスティス×西川有喜
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byMakoto Hada
posted2019/07/11 11:00
写真右から林琴奈、ヒックマン・ジャスティス、西川有喜。
攻守両面でチームに貢献したい。
ヒックマン・ジャスティス
「ちゃんとバレーができたのは3カ月ぐらい。何もできなかったことが悔しい」
入団1年目をそう振り返るのは、ヒックマン・ジャスティスだ。
昨年は右足親指の手術を行い、その後も恥骨筋や腹筋の肉離れなど怪我が相次ぎ、コートに立てない時期が長かった。
そのためスパイカーとしての出場は難しかったが、'18/'19シーズンは、終盤の重要な試合で守備固めとして後衛で起用された。吉原監督は、「サーブレシーブが堅いし、ディグの読みや反応はリベロと遜色ないぐらい」と高く評価する。
ジャスティス自身も、「自分は大エースってわけじゃないし、私ぐらいのスパイクを打つ人はいっぱいいる。じゃあ自分はどこでコートに入るのかと言ったら、守備やサーブレシーブ。サーブレシーブができなければ入っている意味がないというぐらい、こだわっています」と言う。
しかしもともとサーブレシーブが巧かったわけではない。誠英高校に入った頃は、田渕正美監督に「お前のところにサーブが行くと目をつぶりたくなる」と言われた。
特に高めにくるサーブが苦手で、それをカバーするために後ろに下がって構えると、前を狙われて落とされるというジレンマがあった。
「あの時は指がボロボロでした」
ジャスティスを助けたのは、人より大きめの手だった。その手を活かしたオーバーハンドでのサーブレシーブを高校で習得し、高めにきたボールにオーバーハンドで対応することで、課題を克服した。
「あの時は指がボロボロでしたけどね」とジャスティスは苦笑する。
指立て伏せで指を鍛え、近距離でボールを打ってもらってオーバーハンドで取る練習を繰り返した。突き指をしてテーピングだらけになりながらも投げ出さなかった。
そうして身につけたサーブレシーブにはこだわりがある。しかし昨シーズン、後衛での出場を続けて気づいたことがある。
「私はやっぱり、スパイカー。やっぱり打ちたい、点を取りたいと思った。守備を評価してもらえるのはすごく嬉しいけど、点を取るのが自分の仕事。『自分が決める』という気持ちは、絶対に持ち続けていたい」
目指すのは攻守両面で中心となる選手。
「守備はもう見てもらえているので、攻撃面を認めてもらえるように、練習からしっかり結果を出していきたいと思います」
今季は攻撃でも指揮官の信頼をつかむ。