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<JTサンダーズを支える未来の力>
「新世代躍動」 武智洸史×金子聖輝

posted2019/07/11 11:00

 
<JTサンダーズを支える未来の力>「新世代躍動」 武智洸史×金子聖輝<Number Web> photograph by Makoto Hada

写真右から武智洸史、金子聖輝。

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

PROFILE

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Makoto Hada

昨シーズン、男女ともに優勝に一歩届かなかったJTにとって、さらなる躍進を遂げるには、新世代の活躍が欠かせない。チームの未来を担う期待の若手選手を紹介する。

相手から嫌がられる選手になる。
武智洸史

Koshi Takechi
1996年1月1日生まれ。星城高、中央大を経て入団。アウトサイドヒッター。186cm。

 ベタッと地面につく、足の裏。

「めちゃくちゃ左足が扁平足なんです。そのせいでふくらはぎや腰にも影響が出る。だから、筋力や柔軟性をつけることももちろんですけど、ケアは怠らずやる。それはいつも心がけています」

 中央大在学時から内定選手としてプレーした2017/'18シーズン、高い守備力を誇る武智洸史の存在は、JTサンダーズに不可欠だった。ルーキーながら計算できる安定感。'18/'19シーズンもその座は盤石かと思われたが、従来の外国人枠に加え「アジア枠」で獲得した中国代表の劉リュー・リービン力賓がレギュラーに定着。これも今の自分にしかできない役割だと受け止めながらも、ベンチにいる時はいつもウズウズしていた。

「とにかく試合に出たいし、悔しい。何回もモチベーションが落ちかけました。でも、そういう時にアキ(深津旭弘)さんが助けてくれるんです。『それがお前の実力だから、練習するしかないんだよ』って。そう言ってくれる人がいるのがありがたかったし、いろんなことを考えた。今まで以上にバレーボールと向き合った1年でした」

高校時代は「六冠」を達成。

 学生時代を振り返れば、築いたキャリアは実に華々しい。星城高ではインターハイ、春高、国体など主要タイトルを2年続けて制し「六冠」を達成。エースの石川祐希とは中央大でも共にプレーし、リーグやインカレ、大学でも多くのタイトルを制した。

「何しろ、石川様ですから」。笑いながら紐解く、当時の記憶。

「安定感が絶対的に違うんです。練習でもトレーニングの一つひとつに妥協せず、必ず正しいフォームで人一倍やり続ける。プレーがすごいのはもちろんですけど、バレーボールに対する思いや、日頃の姿勢。そういう姿を普段から見ていたから、みんな、試合になったら『必ずやってくれる』と託せたし、僕も『パスを返せば祐希が決めてくれる』と、いつも安心してプレーできた。負ける気がしませんでした」

 だが、どれほど絶対的なエースを擁していても、それだけで勝てるほどバレーボールは甘くない。

 ずっと立ち続けていたコートを離れ、外から試合を見る機会が増えた昨シーズン。新たな気づきが、武智の心に火をつけた。

「Bチームが強いチームは、絶対強いんです。実際、高校も大学もそうでした。だから僕も、試合に出られず悔しい、と腐るんじゃなく、どれだけAチームにプレッシャーを与えられるか。それがチームの強さになると思ったし、自分の武器にもなる。それを一つのモチベーションにしていました」

「JT、Vリーグで中心選手に」

 日々の練習が真剣勝負の場。Aチームのオポジット、トーマス・パトリック・エドガーとは、何度もぶつかり合った。

「絶対にタッチしているくせに認めないんですよ。そのくせ僕には『タッチしただろ』と言ってくる。頭に来るから、仲直りするのは3日後ぐらい(笑)。だから、僕が試合に出る時はいつもトムが声をかけてくれるんです。『アグレッシブに行けよ』って」

 対照的に、ポジション争いではライバルとなるはずだった劉とは、ぶつかるどころか、腹を立てたことすらなかった。

「リービンは祐希に似ているんです。バレーボールに対する姿勢も、普段の生活も。どんなに疲れていても必ず丁寧に泡立てて洗顔をするところとか(笑)。2人ともチームを引っ張る素質を備えていて、そういう2人と一緒にプレーできた経験は本当に大きい。でもだからこそ、自分のやるべきことも見えたし、僕は僕で、今のこの場所、JT、Vリーグで中心選手と呼ばれるような存在になっていきたい、と思うんです」

 途中出場で劣勢を引っくり返し、逆転勝利した試合もあれば、そのまま敗れた試合もある。自己満足に浸るだけならば成功事例だけを見ればいいかもしれないが、それでは次のステップに進めない。

「最近は特に、引っくり返せなかった試合、悪かった試合を見返します。そういう試合を、次は1試合でも多く引っくり返せるように。途中から出て、アイツ嫌だな、と思わせたら気持ちいいし、そこで本当に引っくり返せたらカッコいいじゃないですか」

 自らが歩むべき道を信じて進む。一歩ずつ、しっかりと。地面を足で踏みつけて。

【次ページ】 最短距離で東京五輪を目指す金子聖輝。

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