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山中慎介とボクシング業界の危機感。
プロ選手は全盛期の半分まで激減。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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posted2019/06/26 08:00

山中慎介とボクシング業界の危機感。プロ選手は全盛期の半分まで激減。<Number Web> photograph by AFLO

現役からは退いても、山中慎介のボクシングへの愛は変わっていない。危機感も大きいのだろう。

エリートと叩き上げ、共通の目標は世界。

 山中慎介トーナメントはこうしたアマ出身者に切磋琢磨する場を提供する狙いもある。

 今大会にはアマチュアの全国大会で上位に入った経験を持つ芦屋大出身の中嶋一輝(大橋)、平成国際大出身の堤聖也(ワタナベ)、駒澤大出身の南出仁(セレス)の3選手が出場。いずれもプロでは無敗だ。抽選会で「しっかり優勝して日本タイトル、世界タイトルに羽ばたきたい」と語った南出の言葉は彼らの共通した思いだろう。

 こうした“エリート”に加え、パンチパーマが代名詞の“パンチ”山下賢哉(JBスポーツ)を筆頭とする“たたき上げ組”が混ざっているところが、本トーナメントの面白さでもある。

 自らの立ち位置をよく知る山下は「酒場の喧嘩の経験をいかしてアマチュア出身のエリートに対抗する」とニヤつきながら言い放って会見を盛り上げた。ちなみにプロでの実績は全日本新人王、日本ユース王座を獲得している山下が出場選手の中でナンバーワンだ。

 山中さんは「自分も昔、A級トーナメントで優勝して、日本タイトル、世界タイトル、そして12回の防衛につながっていった。この大会を登竜門として、チャンピオンになってほしい」と選手たちを激励。目の色を変えたホープたちの戦いが、熱くならないわけがない。

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