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ドラフト9位が切り札に成り上がり!
DeNA佐野恵太を変えた米国流分析。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/06/23 09:00
広陵高、明大を経て、2017年にドラフト9位でDeNAに入団。4月4日ヤクルト戦では満塁打を放つなど、今季は代打の切り札的存在だ。
「数値や映像で確認できるのは心強い」
今季の佐野は代打として16打席で打率.429、得点圏打率.455、出塁率.500(データは6月20日現在、以下同)と、上々の数字を残している。3月31日の中日戦で代打サヨナラ安打、さらに4月4日のヤクルト戦では代打で満塁ホームランを放った姿は記憶に新しい。現在、チームにおいて“代打の一番手”といった存在だ。
佐野にブラストモーションについて尋ねると、その効果は間違いなくあったという。
「最初は数値を言われてもピンとこなかったのですが、映像と一緒に見せてもらうと、良いときと悪いときの数値の違いがはっきりとしていて納得することができたんです。たとえば自分の打ちやすいコースはどこなのかも理解できましたし、春のキャンプではずっと付けてバットを振っていました」
キャンプでは毎晩のようにデータ解析の担当者の部屋を訪ね、説明をしてもらいながら自分のフォームと向き合った。
「今日はスイングが遅いなと思ったり、バッティング練習であおりすぎたなと思うと案の定、そういった数値が出ている。一目瞭然だし、逆にブラストモーションが使えないときは不安になったぐらいですからね。数値や映像で確認できるのは心強いし、フォームが崩れたときには本当、助かりました」
ブラストモーション効果もあり佐野は開幕から代打で4打席連続ヒットを放ち、今シーズンに向け手応えを感じたという。
24歳、狙うはもちろんレギュラーだが。
DeNAにとって心強い存在に育ちつつある佐野ではあるが、まだ24歳と若く、代打に甘んじているわけにはいかない。もちろん狙うはレギュラーだが、自分の立ち位置は十分に承知している。
「僕の場合、守備が上手いわけではないし、脚が速いわけでもない。だから打つところからスタートできる代打という立場を利用して、上を目指すしかないんです。とにかく打ちまくってレギュラーを獲るつもりです」
しかし現実問題、そのチャンスは決して多くはない。パリーグ主催の交流戦であればDHがあるので主力が守備に就かないときはスタメンでの出場もあったが、通常はそうではない。出番がない日も当然あれば、10打席に満たない月もある。