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トゥーロン準優勝が日本に残すもの。
「本気のブラジル」に挑んだ勇敢さ。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2019/06/17 12:00
PK戦が終わった瞬間、歓喜を爆発させるセレソン。その一方で日本の選手たちは悔しさと充実感が入り混じった表情を浮かべた。
「自分たちのやりたいサッカーを」
そんな大一番を前にして、日本の選手たちからは「楽しみ」という言葉が聞こえてきた。本気のブラジルに自分たちの戦いがどれだけ通用するのか。厳しい戦いを強いられることは覚悟しつつ、その上で勝利を目指しにいく。
横内昭展監督代行も、せっかくの大舞台を消極的なプレーで終わらせるつもりはなかった。
「せっかくこういう相手と戦える。なので、自分たちのサッカーというか、相手に100%合わせてやるのではなく、自分たちのやりたいサッカーがどこまで通用するのかというのを僕は大事にしました」
勇敢な戦いと次元の違う個の力。
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90分間+PK戦を含めて、日本は非常に勇敢に戦った。腰の引けた戦いをするのではなく、チャレンジャー精神を持って積極的なプレーを披露した。
相手にボールを持たれたとしても我慢強く対応を続け、最後の局面ではしっかりと体を張ってシュートを防ぐ。ボールを持てば後方から的確に組み立てて、相手の隙を伺った。
先制点を許しても下を向くことなく戦ったからこそ、一瞬の隙を逃さずに小川航基が同点弾となるゴラッソを叩き込み、PK戦までもつれる激闘を可能にしたのである。
もちろん“個”の部分では明確な差を感じさせられた。特にブラジルの中盤の選手たちは個での打開力に優れており、日本が1対1でボールを奪った回数は数えるほどだった。
ボランチでフル出場を果たした高宇洋が「5番、18番、3番はちょっと次元が違うなと。Jリーグではなかなか経験できないレベルだった」と振り返るように、フィジカルや威圧感といったところでレベルの差を見せつけられた。