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全米OP1週間前にコーチと決別。
寡黙なD・ジョンソンの熱い戦意。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2019/06/11 17:00
世界ランク1位を親友のケプカと争うダスティン・ジョンソン。しかしたとえライバルが勝っても祝福する度量が彼にはある。
メジャーで2位になるのは偉業だが……。
2017年の春、ジョンソンはとうとう夢の世界一に輝き、2歳になったテイタムくんと優勝トロフィーと世界ナンバー1のタイトルを抱き上げながら、珍しく笑顔を輝かせ、マイクに向かった。
「一番大事なのは、勝って大切な人を抱き上げ、抱き寄せることだ」
ようやくジョンソンに明るい日々が訪れたと思ったのも束の間、出場3試合連続優勝の勢いのまま迎えたマスターズの開幕前日、宿舎の階段から転落して腰を痛め、泣く泣く欠場。相変わらず、ジョンソンのキャリアと人生は光と陰が激しく入れ替わる。
昨年はメジャーでは勝てなかったが、驚くような「事件」や「珍事」に遭遇することなく年間3勝を挙げ、安定した強さを誇った。
そして今年は4月のマスターズでウッズに次ぐ2位に甘んじ、5月の全米プロでは親友ブルックス・ケプカに次いで2位。
すると米メディアは2011年全英オープン、2015年全米オープンに続く、今年のマスターズと全米プロの2位で「DJは2位グランドスラム達成!」と書き立てた。
アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラス、グレッグ・ノーマン、フィル・ミケルソンらに続く史上8人目の「2位グランドスラム」達成。メジャーすべてで2位になるのは大変なことであり、堂々と胸を張っていいパフォーマンスと言っていい。
しかし、勝負の世界における優勝と2位は大きく異なり、「栄えある偉業」とは言い難い。
全米直前に長年のコーチと決別。
そんな状況下、全米オープン開幕の1週間ほど前に、ジョンソンが長年のスイングコーチ、クロード・ハーモン3世と決別したというニュースが飛び込んできた。
ジョンソンがハーモンを差し置いて学生時代からのコーチであるアレン・テレルとともに練習していた場面を目にして、ハーモンが激怒し、契約解消に至ったそうだ。
長年のコーチやキャディとの決別は、往々にして選手の不調時に起こりがちだ。ハーモンとのコンビ解消が、多くを語らないジョンソンのフラストレーションや焦りの表れだとしたら、これは少々心配である。