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全米OP1週間前にコーチと決別。
寡黙なD・ジョンソンの熱い戦意。
posted2019/06/11 17:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
間もなく開幕する全米オープンを、もしもフィル・ミケルソンが制したら、メジャー4大会すべてを制覇する「生涯グランドスラム」の達成となる。
生涯グランドスラムは、ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズのわずか5人しか達成していない偉業だ。
ミケルソンはすでにメジャー5勝を挙げているが、全米オープンだけは惜敗は6度もありながら勝利はなく、全米オープン優勝は彼の悲願。その悲願が今年こそ叶うかどうかを人々は興味深く見守っている。
ところで、今年4月のマスターズを制し、メジャー15勝目を挙げたタイガー・ウッズには、1年のうちにメジャー4大会すべてを制する「年間グランドスラム」達成への期待が高まっていた。しかし、続く5月の全米プロでウッズはあえなく予選落ち。
その時点でウッズの年間グランドスラムの可能性はなくなってしまったが、その代わり、米メディアは「別のグランドスラム」を取り沙汰し始めた。
「史上8人目のランナーアップ・グランドスラムが達成された」――そんな見出しが方々で躍った。
「ランナーアップ」とは、2位のこと。つまり「ランナーアップ・グランドスラム」は、言い換えれば「2位グランドスラム」だ。
それを栄誉と捉えるか、屈辱と捉えるかは本人次第、状況次第だが、勝って輝くグランドスラムとは異質なものであることは確かだ。そして、その「2位グランドスラム」を達成したのは、屈指のロングヒッター、ダスティン・ジョンソンだった。
謎めいた雰囲気に、根強いファンも多い。
ジョンソンのキャリアと人生は、ポーカーフェースで多くを語らない彼の人柄と相まって、いつもどこか謎めいている。光と陰が交錯する人生を唇をギュッと噛み締めたまま生き抜いている感がある。そんな「ミステリアスなDJ」には根強いファンも多い。
2008年にプロデビューしてからのジョンソンの歩みについては、2017年にこの場で詳しく書かせていただいたが、あらためて、ざっと振り返ってみよう。