球体とリズムBACK NUMBER
ロナウドが代表通算7度目のハット。
ポルトガルが真の欧州王者に王手。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/06/07 07:00
初のセリエA挑戦となった今季リーグ戦で21ゴールを挙げたロナウド。もちろんポルトガル代表でもその決定力は圧倒的だ。
代表通算7度目のハットトリック。
88分、背面からのロングフィードを巧みに落としたベルナルド・シウバがボックス内の右から折り返すと、走り込んだCR7が右足を合わせて、強烈なグラウンダーのシュートでネットを揺らした。トップ中のトップレベルの2人によるハイクオリティーな連携から、ポルトガルがついに勝ち越し。会場は先制点の時よりも大きな喜びに包まれた。
さらにその2分後、中盤での相手のミスから、フェリックスと交代で入ったゴンサロ・グエデスが運び、並走するロナウドへとパス。左斜めからステップオーバーでDFを外して切れ込むと、右足の強烈なフィニッシュでサイドネットを揺らした。
CR7はおよそ1年前のロシアW杯モロッコ戦から代表でゴールがなかったが、大事な場面でハットトリックを達成。ポルトガル代表での1試合3得点は、実に7度目となった。
「明らかに重要で美しい3ゴールだったね」と試合後にロナウドは話した。「もちろん、僕はすごくハッピーだよ。でも何よりも重要なのは、勝利を収めて、チームが決勝に駒を進めたことだ」
地球上でもっとも偉大な現役フットボーラーの1人は、若かりし頃のようなわがままな姿は一切見せず、試合中に何度も仲間を励ましていた。そして彼の名を呼び続けた母国のファンには、次のように感謝した。
「ファンにメッセージを送りたい。あなたたちは(この勝利の)重要な役割を担い、僕らを力強くサポートしてくれた。僕らが1つになれば、より強くなれる」
EURO2016を制したポルトガルが、ネーションズリーグでも決勝に勝ち進んだ。ここでも頂点に立つことができれば、正真正銘の欧州王者と呼ばれることになる。