球体とリズムBACK NUMBER
ロナウドが代表通算7度目のハット。
ポルトガルが真の欧州王者に王手。
posted2019/06/07 07:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
帰ってきたスーパースターが勝負を決した。しかも、これ以上ないほど大きな存在感を放ちながら。
UEFAネーションズリーグ決勝トーナメント初戦、準決勝にあたるこの試合のポイントは、ポルトガル代表で同大会初出場となる2人のアタッカーにあった。
1人は売り出し中の19歳、ジョアン・フェリックス。ベンフィカで後半戦の主役となり、リーグ戦15ゴールを挙げ、不調のチームを救ってリーグ優勝の原動力となった若者は、マンチェスター・シティやマンチェスター・ユナイテッドなどメガクラブがこぞって獲得を狙っていると噂される。移籍が実現すれば、100億円以上で取引されることが確実とも言われる。
もう1人は言わずと知れたポルトガルの大エース、クリスティアーノ・ロナウドだ。
決定機を外しても決めるロナウド。
34歳のCR7ことロナウドは年齢を考慮され、ネーションズリーグのグループステージを回避していた。だが、決勝トーナメントから帰還。愛する母国で開催される大会の初代王者になるべく、万全の状態でスイスとの一戦に臨んだ。
そしてフェリックスもロナウドも先発に名を連ね、2人のネーションズリーグのデビュー戦に注目が集まった。
キックオフから前へ出たのは、ポルトガル。ホームの大声援を背にハイプレスをかけて相手のバックラインを慌てさせ、12分には早くもビッグチャンスを迎える。スイスのCBマヌエル・アカンジの横パスをベルナルド・シウバがカットし、縦に抜け出たロナウドへスルーパス。ところがフリーの決定機は、らしくないシュートミスで枠を外してしまった。
だが、その13分後にロナウドは、左サイドからドリブルを仕掛けてファウルを受けてFKを得る。助走から身体をたたみ込みながら右足を振ると、ボールは壁の上を超えて、GKヤン・ゾマーの左を抜けていった。背番号7が汚名返上の機会をしっかりモノにすると、ポルトのエスタディオ・ドラゴンは一気に沸いた。