濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
近藤有己43歳、郷野聡寛戦で久々勝利。
直後に控室で語った「強さ」への思い。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2019/06/02 09:00
久々の勝利に、控室でスッキリしたような表情を見せた近藤。格闘技への情熱はいまだ衰えていない。
「これまでで一番アグレッシブにやれたんじゃないか」
――2019年、43歳と44歳になって郷野選手と闘ってみた感触は?
「いや、若い時もよかったと思いますけど、今もよかったんじゃないかなって思います」
――昔と今の違いは何か感じましたか。
「なんだろ……分かんないですね。体力が落ちてるとか、そういうのはお互い感じなかった。これまでで一番アグレッシブにやれたんじゃないか、くらい思ってます」
――年齢はマイナスになってないと。
「ないです、はい。いい仲間に恵まれて、いい練習ができてるなと」
――今、格闘家として目指すものは?
「なんですかね、一番は“もっと強くなりたい”ってことです」
――その手応えはどうでしょう。
「正直、なくなる時もありますけど(笑)。いや、若い選手がみんな強いんですよ。たった1日で別人じゃないかっていうくらい成長してたり。そういう選手と練習してると自信を失う時もありますね。でも、それを含めていい練習させてもらってます。人と比べてどうこうは分からないけど、自分が強くなれているという感触はありますし。前より冷静になれてるなとも思いますね」
郷野とは「4戦目、5戦目」もありうる!?
近藤は昔と変わらず淡々としていた。「まだやめるわけにはいかない」とか「今さら他のことはできない」とか、思いつめたり格闘技にしがみついたりするようなことは言わなかった。そこに少し、安心した。
強くなりたいという思いがあり、全力で練習できる環境と試合ができる舞台がある。それ以上でも以下でもない。20代の近藤は「好きでやってるんで、できれば毎日だって試合したいんですよ」と語っていた。今もその気持ちに大きな変化はないのだろう。
試合前の選手紹介VTRで、近藤は「(郷野との)4戦目もあるかもしれない」と語っている。控室で、その言葉についても聞いてみた。近藤は近藤らしく、こう答えた。
「4回目もあるでしょうし5回目だってあるかもしれないですよ。お互い、変わらず(格闘技を)やっていればそうなるんじゃないかなって。今日の試合がゴールじゃないですから。まだまだです。そういう気持ちです」