濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
近藤有己43歳、郷野聡寛戦で久々勝利。
直後に控室で語った「強さ」への思い。
posted2019/06/02 09:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
MMA(総合格闘技)も歴史を重ねたということだろう。43歳vs.44歳、ベテラン同士13年ぶり3度目の対戦という感慨深い試合を見た。
5月26日のパンクラス新木場スタジオコースト大会。ウェルター級マッチで闘ったのは1975年生まれの近藤有己と'74年生まれの郷野聡寛だ。
近藤は1996年にデビューし、そこから1年余りでキング・オブ・パンクラスの座に就いた。まだグローブによるパンチではなく掌底、ロープエスケープありのルールだった時代だ。そこから長くトップ戦線で活躍してきた。
郷野は修斗、“外敵”として参戦したパンクラス、PRIDEにUFCとさまざまなプロモーションに登場している。十数年前のブーム時代、格闘技を熱心に見ていた人なら、2人の名前を懐かしく思い出すのではないか。
ところが、彼らは懐かしいどころか今も現役なのだった。紆余曲折あり(郷野は一度、引退を表明している)、試合のペースも落ちた。すでにトップファイターとは言えなくなっている。だけど彼らは闘い続け、元号をまたいで3度目の対戦を迎えた。
ベテラン対決は“レトロマッチ”にあらず!
1戦目は2001年12月、パンクラスで近藤がTKO勝ちを収めている。2戦目はPRIDE大晦日大会(2006年)。スプリット・デシジョンの試合を郷野が制した。13年ぶりのラバーマッチは、しかしオールドファンだけが対象の“レトロマッチ”ではなかった。
後半戦に組まれていたものの、試合時間は上位選手の試合より短い、いわば格下の3分3ラウンドだ。ランキングに入っていない選手同士が、這い上がるために潰し合う。そんな要素のあるマッチメイクだった。