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MLB屈指の理論派は高校野球を肯定。
菊池雄星に秘伝を授けたバウアー。
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byAFLO
posted2019/05/30 11:45
菊池は開幕当初こそ勝ち星に恵まれなかったが、12試合に投げて3勝2敗、防御率3.82と安定している。
かつては松坂大輔をよく観察した。
バウアーは代理人が同じこともあって、カブスのダルビッシュ有と意見交換をする間柄でもある。その彼が、菊池との邂逅を心から喜んでいる。
「僕はメジャーに来る日本選手を動画などで自分なりに事前チェックしてきたんだ。彼らの腕、肘の使い方はとても参考になるから。ユウセイもチェックしてきた1人。それと、'13年にはダイスケ・マツザカとキャンプで同じ時間を過ごす機会があったけど、彼の動きをよく観察していたよ」
6年前、インディアンスとマイナー契約を結び、招待選手としてキャンプに参加していた松坂大輔(現・中日)のメジャー昇格はならず、バウアーはその年の1つの楽しみを失ったとため息を漏らす。
米球界屈指の理論派バウアーには意外な側面がある。メジャーでは極めて珍しく、時代と逆行する伝統的な価値観を支持する点だ。
チームを背負っていくのが先発投手。
バウアーは日本の高校野球を引き合いに出し、その真義を説いた。
「ハイスクールのトーナメント(甲子園)で1人の投手が3試合も4試合も投げているのを、映像で見たり人からも聞いたことがあるけど、僕は美しいことだと思っている。だって、チームを背負って勝利に向かうのが先発投手のあるべき姿でしょ。
小さい頃、野球の心得がある父から『いいピッチャーになりたければどんどん投げることだ』とずっと言われていた。僕は今もその気持ちを育み続けている」
プロアマを問わず、日本でも球数制限の風潮が高まっている時代に、バウアーの言葉は傾聴に値する。
ここで誤読の芽を摘んでおくが、バウアーは腕も折れんばかりに連投をするということに賛同しているのではなく、先発を任された投手がその責任を最後まで全うしようとする日本野球の「精神性」に賛同しているのだ。「マウンドに上がれば長いイニングをいつも目指している」がバウアーの信条だ。