武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
武蔵丸が見た令和初の夏場所。
「朝乃山、初優勝は忘れて!」の意味。
posted2019/05/29 08:00
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
令和時代初の大相撲本場所が終わったね。前頭8枚目の朝乃山が初優勝し、相撲界にも新しい風が吹いてきた感じかな。横綱白鵬が休場していたけど、なんだか、すっかり忘れちゃっていたよ(笑)。
昨年7月の名古屋場所では御嶽海、11月の九州場所では貴景勝、そして今年1月の初場所では玉鷲の優勝。「よし! オレも!」と若手力士たちの励みにも、刺激にもなっているはずなんだ。誰にでもチャンスがあるんだよね。
今場所の朝乃山は、とにかく前に出ているのがよかったな。187センチ・177キロの恵まれた体格で、四つに組む本格派の25歳。今までの彼を見ていて、まだまだだな、というところもあったんだよね。体を後ろに反らせて相撲を取ることが多かったし、脚を開きすぎたり、強引な相撲があったりしたのに、今場所はそれがなかったんだ。
朝乃山へのアドバイス「初優勝は忘れること」。
優勝を決めた14日目の豪栄道戦は、がっぷり組んで寄り切った、いい相撲だった。ただ、これは豪栄道もよくなかったんだよ。自分より大きい相手に胸を合わせちゃいけない。まわしを取られたら、もっと腰を振って動いて、掴まれたまわしを切らないとね。
朝乃山は体もあるし、右差しの自分の形をもっと磨くと、本当に将来が楽しみな存在。これからのポイントは、「初優勝は忘れること」。優勝を喜ぶのは、本場所後の休暇1週間だけで終わりだよ(笑)。
まだ三役経験もない地位での優勝。今後は焦らないで、それこそ1年掛けるつもりで、今より丈夫な体を作り、稽古する。そうすれば1年後とかには、大関も見えてくるんじゃないのかな?
白鵬はじめ、上位陣とじゅうぶん渡り合える存在になっているはずだよ。