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青木宣親は個人記録に興味があるか。
自分からチームに移った思考の重心。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2019/05/28 12:00
青木宣親は日本プロ野球に「成し遂げること」を再び見つけたからこそ、今も戦い続けているのだ。
「自分の打撃」に決着をつけた先に。
昔から自主トレーニングを一緒にやってきたベテランの上田は、こう言った。
「今でも凄い成績を残してるのに、常に前を向いてどん欲に高いところを目指しているというのをすごく感じる」
それが個人記録のためではないとするなら、いったい何なのか。
自主トレの最中、青木自身がこんなことを言っている。
「去年2位だったからって、今年、2位からスタートするわけじゃないから、そんなの関係ないよ。ただ、2位になる力はあるんだから、あとは選手ひとりひとりが1位との差を埋めていかなくちゃ、絶対に届かない。だから皆、こうやって頑張ってんじゃん」
ナニ当たり前のこと聞いてるの? という表情に、確信を得た。
アメリカにいた頃、とことん「自分の打撃」にこだわった青木は「日本でやっていく」と決意した後、その気持ちにひとつの決着をつけたのだ、と。
かつて自分だけに向けられていたエネルギーは今、彼がまだ達成していないことに向けられているのだ、と。
彼がまだ達成していないこと――。
それはもちろん、東京ヤクルトスワローズを日本プロ野球のチャンピオンに導くことである。