ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
鈴木みのるがライガーと闘いたい理由。
17年前の電話と、プロレス界復帰。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2019/05/14 11:00
2002年に対戦した際の獣神サンダー・ライガーと鈴木みのる。17年前にかわした電話のやり取りが今明らかに!
「すべてを失う覚悟」でプロレスに復帰。
'02年11月30日、鈴木はライガーとパンクラスのリングで対戦。すると、抑えていた感情が溢れ出した。「どうしても、もう一度プロレスをやりたい」と強く思うようになったのだ。しかし、プロレスに復帰すれば、パンクラスを作ってからの自分の発言を覆すことになる。
「でも、どうしてもやりたい気持ちはもう抑えられなかった。だから、それまで築いてきた自分のイメージ、パンクラスの仲間たち、支援してくれた人たちやファン、すべてを失う覚悟で戻ったんだ」
2003年、35歳でプロレスに復帰。あのライガー戦なくして、いまのプロレスラー鈴木みのるは存在しなかったのである。
いまだからこそ、闘う意味がある。
そしていま、鈴木は引退を決意したライガーと再び闘おうとしている。それは17年前に約束した“総合格闘技ルールで”というわけではないだろう。
4.23後楽園での試合後、鈴木みのるはオープンフィンガーグローブを床に叩きつけてこう語っている。
「べつにこんなもの付けてなくてもいいんだ。俺が殴ればいいんだ、蹴ればいいんだ、首絞めればいいんだ。俺はおまえのトドメをさせればそれでいい。ライガー、おまえの口で答えろ!」
鈴木は17年前のあの一戦以降、自分が培ってきたプロレスをライガーにぶつけるだろう。
そして鈴木に負けてからブラジリアン柔術を学び始め、現在紫帯を取得しているライガーは、その技術も駆使して、自分のプロレスで勝負することだろう。
鈴木みのるvs.獣神サンダー・ライガーは、いまだからこそやる意味があるのだ。