“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J3最下位も味わった北九州。
ミクスタと共に歩む再建への道。
posted2019/04/21 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
J3ギラヴァンツ北九州の本拠地であるミクニワールドスタジアム北九州(以下、ミクスタ)は、福岡県第二の都市である北九州市の中心、小倉駅に隣接する。
良好なアクセスを誇る収容人員1万5000人のスタジアムは、メインスタンドやゴール裏スタンドのすべてが屋根で覆われ、機能性も抜群。さらに、バックスタンドが海に面しており、メインスタンド2階席からはその海と山々を望める最高のロケーションだ。
ミクスタは2015年4月に着工、'17年1月に完成。それ以前は小倉駅から16kmも離れた(車で30分程度)の北九州市立本城陸上競技場を本拠地として使われていた。1万人程度しか収容できず、さらにピッチの周りを陸上トラックで囲まれていたこともあり、サッカーを観る環境は劇的に変化したと言えるだろう。
筆者は全都道府県、世界40カ国のスタジアムを旅してきたが、ミクスタはその中でもトップクラスに挙げてもいい。まさに日本屈指のスタジアムだ。
小倉駅を降りると、入り口まで徒歩7分と少しだけ歩くが、動く歩道も設置され、都会を感じさせる建物の間を進めば、あっという間に大きなスタジアムが現れる。初めて来た人はその壮観に驚きと感動を覚えるかもしれない。
文句ないスタジアム、地元企業も応援。
J3第6節の北九州vs.アスルクラロ沼津の一戦で、筆者は3度目のミクスタに足を運んだ。いつ来ても素晴らしいスタジアムだ、と思う一方で、毎回必ず同じ想いが頭に浮かぶ。
『なぜ、こんなに素晴らしいスタジアムがあるのに、北九州はJ3のままなのだろうか』
厳しい言い方に聞こえるが、純粋にそう思いたくなるほど、ハード面は充実している。さらに北九州をサポートする企業もTOTO、安川電機、ゼンリン、ナフコ、第一交通産業、北九州銀行とすべて本社を北九州市に置く一流企業ばかり。選手の質も他チームと比べても遜色はなく、「なぜ?」がぬぐえないのだ。