“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J3最下位も味わった北九州。
ミクスタと共に歩む再建への道。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/04/21 17:00
J3第6節アスルクラロ沼津戦では今季初黒星を喫したが、期待を抱かせる戦いを見せるギラヴァンツ北九州。
J2昇格どころか、昨年はJ3最下位。
新スタジアムのこけら落としとなった'17年はJ2昇格が叶わず、昨年に至っては森下仁之監督の下で再起を図るも、低迷を続け、6月に森下監督が解任。柱谷哲二監督が後を引き継いだが、J3最下位という不名誉な結果に終わってしまった。
「J3に落ちた'17年は資金面こそ落ちたけど、街の期待感が違った。それはミクスタの存在が本当に大きかった。物珍しさもあったと思うし、何よりもスタジアムへ足を運ぶことへの抵抗が少なくなったことで、J2時代よりも集客や試合の雰囲気は良かった。
それを選手として肌で感じていたのに、期待に応えられなかった。昨年は応えるどころか最下位。申し訳ないという気持ちが強いし、どこかでJ3の戦いを甘く見ていた部分もあった。(J2へ)上がれない事実を突きつけられて、不甲斐なさを感じた。
それでも、クラブの人たちは僕らのために必死に働いてくれて、サポーターも信じて応援をし続けてくれている。クラブは僕らだけで成り立っているわけではなく、スタッフ、サポーター、地域の人たち、そしてスポンサーの方々の存在が、いかに支えになってくれているのか。見捨てないでサポートしてくれるのか。そこにいつまでも甘えてしまっていてはダメだと強く思った」
加藤がこう語ったように、どんなに低迷を続けても、北九州というクラブには周りのサポートという大きな光があった。そして、それを大きく包み込んでいたのが、ミクスタだった。
今季はスタートダッシュに成功。
迎えた今季、選手の半分近くが入れ替わり、小林伸二を新監督に迎えたチームは、開幕4連勝を飾る好スタートを切っている。
ゴール裏には黄色と赤のユニフォームが埋まり、サポーターチャントもリズミカルで声がしっかりと出ている。明らかにスタジアムの雰囲気は良くなっていた。沼津戦は0-2と今季初黒星を喫したが、4561人もの観衆が詰めかけていた。
「キャンプから積み上げてきたものが形になってきています。小林監督と浦和レッズで10年務めた天野賢一コーチの2人が議論を交わしながら、チームを作ろうとしていることが伝わるし、細かい立ち位置やボールの動かし方などを意識させながらトレーニングをしてくれている。ゲームでやろうとしていることをトレーニングに落とし込んでくれているので、プレーしていて楽しいし、チームとしてもやるべきことの共通理解が深まっていると思います」