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イチロー、意外すぎる告白。
「負けてばっかりでした」 

text by

宇賀康之(Number編集長)

宇賀康之(Number編集長)Yasuyuki Uka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/04/17 12:30

イチロー、意外すぎる告白。「負けてばっかりでした」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

シアトルの公園を走るイチローさん。醸し出す雰囲気は、現役時と何ら変わっていない。

「言葉を発する前に、まず自分を作れよ」

 この直後に語られるもう1つの「負け」とは? WBCで味わった「恐怖」とは? 28年間の野球人生の中で戦い続けてきた「敵」とは? そして、自分の一番の「才能」とは――。ヒットメーカーの胸の内にあった想いが、読む者に衝撃と感慨をもたらす言葉として、次から次に現れてくる。

<――では、野球をやめた今、鈴木一朗さんはカタカナのイチローさんに対して、どんな言葉をかけたいと思いますか。

「僕がこれほど幸せな最期を迎えられたのは、カタカナのイチローが初めてアナウンスされたとき、みんなに笑われたからだったと思うんです。あの屈辱がなければ、最後の東京ドームで試合後、みんなが帰らずに待っていてくれたあの瞬間はなかったのではないでしょうか」>

 話題はさらに、弓子夫人との秘話や、引退会見で「3000個握らせてあげたかった」というおにぎりの具、英語と日本語、思わず泣いてしまった動画など、本当に多岐に及んだ。

 プレーのみならず、言葉でも圧倒的な存在感を示してきたイチロー選手。その力をこのインタビューでも改めて見せつけられた恰好だが、では、彼が言葉を発するときに、大切に考えていることとは何だろうか。

<「同じ言葉でも、誰が言っているかによって意味が変わってきます。だから、まず言葉が相手に響くような自分を作らなければならないと考えています。今は言葉を発することが先になってしまっている時代のように見えますが、言葉を発する前に、まず自分を作れよって思います。そうすれば自分なりの言葉が出てくるはずだし、人が聞いたときの伝わり方がまったく違ってくるはずです。だからまずは黙って、やること。言葉を発するのはそのあとでいいんです」>

Numberでしか読めない珠玉の言葉の数々を、名シーンを活写した厳選写真や、ブルーウェーブ時代から始まった28年間の野球人生を改めて振り返る多くの記事とともに、ぜひとも誌面で堪能してほしい。
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