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<Dear Ichiro>
ダルビッシュ有「いきなり落とされたんです」

posted2019/04/19 15:00

 
<Dear Ichiro>ダルビッシュ有「いきなり落とされたんです」<Number Web> photograph by AFLO

'12年4月9日、ダルビッシュはメジャーデビュー戦で、イチローに3安打を許した。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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AFLO

19歳の初対戦で痛烈なヒットを浴び、メジャー初登板ではレフト前に落とされた。
そんな大先輩から託されたバトンを研究熱心な後輩はしっかりと受け取った。

 即座の反応が、ダルビッシュらしかった。

「イチロー引退」の一報を耳にした朝、キャンプ地での練習を終えたダルビッシュ有は、ほぼ表情を変えることなく言った。

「うれしいことではないですけど、また、そこは分からないので……」

 引退のショックを「うれしいことではない」と言い換え、事実として受け入れる代わりに「復帰の可能性」というジョーク交じりのフレーズに変換した。さらに、神妙な口調で言葉を探した。

「掛ける言葉がないというか、僕が偉そうにコメントするようなことはないです」

 それほど、ダルビッシュにとってイチローの存在は別格だった。

 ダルビッシュがプロデビューした2005年、イチローは既にメジャー最高の選手だった。対戦したこともなければ、面識もない。いわば、一般のファンと同じように、イチローは「テレビの中の人」だった。

 初めて同じ舞台に立ったのは'06年の第1回WBCの壮行試合だった。12球団選抜の先発としてマウンドに上がったダルビッシュに対し、日本代表の1番はイチロー。当時19歳の右腕は、安打製造機の実力をまざまざと見せつけられた。

「いきなりライト前に強烈なヒットを打たれたのがすごく印象に残っています」

 その3年後、'09年WBCでは、同僚として戦った。当時のダルビッシュは日本球界屈指の投手に成長していたが、まだメジャーを身近に感じられる状態ではなかった。

「松坂(大輔)さんとイチローさんがいて、メジャーリーガーの人とプレーしているのが信じられなかったです」

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