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楢崎智亜の五輪金メダルに待った?
チェコの天才クライマーが復活参戦。

posted2019/04/18 10:30

 
楢崎智亜の五輪金メダルに待った?チェコの天才クライマーが復活参戦。<Number Web> photograph by JMSCA

ボルダリング・ワールドカップの2019年開幕戦は、チェコのアダム・オンドラが優勝。日本の楢崎智亜(左)が2位、杉本怜が3位。

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森山憲一

森山憲一Kenichi Moriyama

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JMSCA

 4月5~6日、スイス・マイリンゲンでボルダリング・ワールドカップが開かれ、スポーツクライミングの2019シーズンが本格的に幕を開けた。

 今シーズンは、来年に控える東京オリンピックを占うシーズンとして非常に重要であるということを以前の記事(https://number.bunshun.jp/articles/-/833557)で書いた。そこでは、日本の楢崎智亜が金メダル候補筆頭であるということも書いた。

 マイリンゲン大会では、その楢崎智亜と女子の野口啓代がそろって2位に入った。とくに男子の活躍は圧倒的で、決勝進出者6人中4人が日本人。楢崎に次ぐ3位にも杉本怜が入っている。優勝こそ逃したものの、日本のスポーツクライミングチームは順調なシーズンスタートを切ったといっていいだろう。

 しかし今回お伝えしたいのはそのことではない。日本人男子の大活躍がかすんでしまうほどのインパクトを残したクライマー。男子優勝を果たした怪物についてだ。

 その名はアダム・オンドラ。チェコのクライマーである。

ほぼW杯に出ていなかった理由。

 私は前回の記事で、オンドラについてはあまり詳しくふれなかった。というのは、オンドラがこの3年ほど競技にはあまり出場していなかったからだ。2018シーズンはワールドカップに1戦しか出場しておらず、2017年と2016年も同様に1戦のみである。

 しかし、出場したその3戦すべてで決勝に残っている。この間、ワールドカップのほかに世界選手権にも出場しており、2016年はリード種目1位、ボルダリング種目2位、2018年にもリード種目で2位という成績を残している。つまり、参戦数こそ少ないものの、出場しさえすれば即優勝候補となる実力の持ち主ではあるのだ。

「影の実力者」と騒がれた選手が実際に出場してきたら大したことなかった、というありがちなパターンではなく、全盛期を過ぎた選手が競技から距離をおきはじめたということでもない。

 オンドラの実力は間違いなく世界のトップレベルにあり、日本人男子の最大の脅威となりうるのはオンドラをおいてほかにいないというのは、クライミング関係者の一致した見解であろうと思う。

 ところがオンドラは、2015年にワールドカップで総合優勝を果たして以降、競技出場には消極的で、オリンピックについて当初は批判的な発言すら重ねていた。昨年秋にオリンピックを目指すことを表明はしていたが、実際どうなるかはシーズンが始まってみないとわからない。私が金メダル候補として詳しくふれなかったのはそのためだ。

【次ページ】 決勝でただひとり、すべて完登。

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