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「ハーフの子供たちのために」
八村塁のルーツへの誇りと自信。

posted2019/04/15 08:00

 
「ハーフの子供たちのために」八村塁のルーツへの誇りと自信。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

八村は「小さい子たちをインスパイアするような人になりたい」と話す。

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph by

Yukihito Taguchi

「僕は、日本のハーフの子供たちのためにプレーしたい」

 八村塁は、最近、いくつかのアメリカの媒体の取材に答えて、そう話している。西アフリカの国、ベナン出身の父と日本人の母の血を継ぐハーフとして、同じようなハーフの子供たちのロールモデルとなると自ら宣言したのだった。

 それで思い出したことがあった。4年前、まだ八村が仙台の明成高校にいたときのこと。夏に日本代表に参加していた彼を取材させてもらったことがあった。バスケットボールを始めたいきさつや、代表活動の経験、アメリカやNCAAに対する思いなどを聞いた後で、高校生に聞くには少し繊細な話題かと思いながらも、ハーフであることで苦労したことがあるか尋ねてみた。

「ハーフで苦労したことはない」

 すると、八村はあっけらかんと「(苦労したことは)ないです。絶対にハーフでよかったです。それは、もう言い切れます」と、きっぱりと断言したのだ。

「こういう、いい身体をお父さんからもらって。いろんなところでハーフのほうがよかったですね。ハーフで色々苦労したっていう人もいるじゃないですか。でも、自分は全然。小さい頃には何かあったかもしれないんですけれど、そういうのは全然関係なく……」

 その時は前向きな言葉に感心して、記事でもその言葉を紹介したのだが、正直なところ、これは彼の本音なのだろうかとひっかかっていた部分もあった。

 それから少しして、明成高校の佐藤久夫コーチから、八村が子供の頃、弟や妹がハーフということでいじめられるたびに相手のところに殴り込みに行ったという話を聞いた。やはり、実際にはいいことばかりでなく、そういう経験もしてきたのだなと知り、それでも「ハーフで苦労したことはない」と断言できるメンタリティに興味を持った。

【次ページ】 「固い絆……でもないですけど」

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