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田臥勇太復帰とBリーグ栃木の第2章。
「優勝の時と同じか少し良いかも」

posted2019/04/13 11:30

 
田臥勇太復帰とBリーグ栃木の第2章。「優勝の時と同じか少し良いかも」<Number Web> photograph by B.LEAGUE

田臥勇太の復帰戦となった3月27日のホームでの秋田ノーザンハピネッツ戦では99-54と圧勝した栃木ブレックス。

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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B.LEAGUE

 相手選手の放ったシュートがリングの手前側に当たって跳ね上がると、そのボールをつかもうと、田臥勇太が頭から飛び込んだ。

 田臥の手に当たってボールがこぼれると、今度は鵤誠司(いかるが・せいじ)が身体を投げ出した。4月6日、栃木ブレックスとアルバルク東京の試合、第3Qの残り3分を切った場面だった。

 Bリーグ初年度のファイナル、試合終盤にブレックスがリードしている時点で、ジェフ・ギブスや田臥がルーズボールめがけて飛び込んでいった姿を記憶している人も多いだろう。ギブスはそこでアキレス腱断裂の大怪我を追い、田臥は勢いあまってコートサイドの席を飛び越えてしまうほどだった。

 彼らを突き動かしたのは、ブレックスの選手に共通した使命感だった。

 守備に汗を流し、リバウンドやルーズボールに泥臭く飛び込んでいく。選手やヘッドコーチ(HC)が代わっても、受け継がれていくブレックスのスタイル。田臥のプレーはそれを象徴するシーンだと感じた。

田臥「あのボールは取れたはず」

 しかし、話は単純ではないらしい。田臥はこう振り返る。

「誠司がしっかり飛び込んでくれたので助かりましたけど、僕の中ではあのボールは取れたはずだと思っている。飛びつくときの感覚が……ワン、ツー、スリーポイントくらい遅いので。そういうところはまだ……」

 もっとも、田臥は悲観しているわけではない。

 昨年10月20日のレバンガ北海道戦を最後に、田臥は腰の痛みから戦列を離れていた。復帰したのは3月27日の秋田ノーザンハピネッツ戦。実に5カ月以上が経過していた。

「当然ですけど、5カ月も空いてしまいましたから、感覚は試合をやりながら戻していくしかないです。あそこで飛び込めた、体が反応できた、という良い部分はある。じゃあ次は、ああいう場面でボールを取れるように……」

【次ページ】 田臥の姿は栃木の今を象徴する。

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