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田臥勇太復帰とBリーグ栃木の第2章。
「優勝の時と同じか少し良いかも」
posted2019/04/13 11:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
B.LEAGUE
相手選手の放ったシュートがリングの手前側に当たって跳ね上がると、そのボールをつかもうと、田臥勇太が頭から飛び込んだ。
田臥の手に当たってボールがこぼれると、今度は鵤誠司(いかるが・せいじ)が身体を投げ出した。4月6日、栃木ブレックスとアルバルク東京の試合、第3Qの残り3分を切った場面だった。
Bリーグ初年度のファイナル、試合終盤にブレックスがリードしている時点で、ジェフ・ギブスや田臥がルーズボールめがけて飛び込んでいった姿を記憶している人も多いだろう。ギブスはそこでアキレス腱断裂の大怪我を追い、田臥は勢いあまってコートサイドの席を飛び越えてしまうほどだった。
彼らを突き動かしたのは、ブレックスの選手に共通した使命感だった。
守備に汗を流し、リバウンドやルーズボールに泥臭く飛び込んでいく。選手やヘッドコーチ(HC)が代わっても、受け継がれていくブレックスのスタイル。田臥のプレーはそれを象徴するシーンだと感じた。
田臥「あのボールは取れたはず」
しかし、話は単純ではないらしい。田臥はこう振り返る。
「誠司がしっかり飛び込んでくれたので助かりましたけど、僕の中ではあのボールは取れたはずだと思っている。飛びつくときの感覚が……ワン、ツー、スリーポイントくらい遅いので。そういうところはまだ……」
もっとも、田臥は悲観しているわけではない。
昨年10月20日のレバンガ北海道戦を最後に、田臥は腰の痛みから戦列を離れていた。復帰したのは3月27日の秋田ノーザンハピネッツ戦。実に5カ月以上が経過していた。
「当然ですけど、5カ月も空いてしまいましたから、感覚は試合をやりながら戻していくしかないです。あそこで飛び込めた、体が反応できた、という良い部分はある。じゃあ次は、ああいう場面でボールを取れるように……」