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マキロイが今年こそ優勝候補な理由。
「マスターズに勝てなくてもOKだ」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2019/04/10 17:00
暴れん坊のイメージが強いマキロイもいまや29歳。技術に精神が追いつき、勝利へのアプローチすら変化している。
マスターズ・チャンプに相応しい成熟。
そうやって今年のマキロイを成績面から眺めれば、マスターズ優勝の可能性はきわめて高いと思えてくる。
だが、かつての大敗でえぐられた心の傷を乗り越えられるかどうかの分れ目は、彼の成績面ではなくメンタル面にあるのではないだろうか。
果たして、今のマキロイの心はマスターズを制するに足る状態にあるのかどうか。マスターズ・チャンプになりうる成熟性を身に付けているのかどうか。
そういうアングルから彼を眺めた上で、「今年こそ、イエスだ」と私は答えたい。
マスターズは「必要」から「欲す」ものに。
2018年の春にアーノルド・パーマー招待で優勝して以来、ほぼ1年間、勝利から遠ざかっていたマキロイは、その間、優勝に対する考え方や姿勢が「徐々に変わっていった」そうだ。
昨年のマスターズは5位タイに終わり、続く5月のプレーヤーズ選手権では予選落ちを喫し、6月の全米オープンでは初日に80を叩いて、やはり予選落ちした。
意気込んでは負け、さらに意気込んでは大崩れして予選落ちした昨夏の日々。それが、いわゆる「空回り」であることを、彼はようやく身をもって知ったと振り返った。
キャリア・グランドスラム達成がかかるマスターズでは、そんな空回りが他の試合のとき以上に、あからさまに起こった。
いや、「起こった」のではなく、空回りを自分自身で「起こしてきた」と気付いたマキロイは、今年からマスターズへのアプローチの仕方を根本的に変えようと心に決めた。
「数年前まで、僕はマスターズ優勝が自分にとって必要だと思っていた。僕にとってグリーンジャケットは手に入れるべき必要なものだと思い込んでいた。
でも、そうではない。必要なのではなく、僕はマスターズ優勝を欲しているんだ。そう、勝ちたい。勝つことを愛してやまない。純粋に、ただそれだけなんだ。
そして、もしも勝てなかったら、それはそれでOKだ。今の僕は、そう思っている」