JリーグPRESSBACK NUMBER
湘南のロッカールーム映像がすごい。
怒鳴り合いでもカメラを止めるな!
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2019/04/08 07:00
湘南ベルマーレのドキュメンタリーDVDのワンシーン。監督と選手の白熱した言葉の応酬を目の当たりにできる。
ロッカールームにはドラマがある。
'14年からロッカー内が収録されるようになり、今回で5作目。毎シーズン、ハッピーエンドで終わったわけではない。'16年はJ2降格を味わっている。遠藤広報は当時をしみじみ思い返す。
「絶対に(ロッカーの映像を使うことを)やめちゃいけないと思いました。結果が悪かったシーズンの軌跡も見てもらいたい。私は個人的に'16年のDVDが好き。生きるヒントがあるなって。良いときも、悪いときもあるのが人生だと思います」
そもそもは選手たちからの提案で、密室だった場所にカメラが入ることになったのだ。J2に降格した'13年シーズン、遠藤広報は選手たちからよく話を聞いていた。ある選手から、ロッカーには数えきれないくらいのドラマがあると言われた。
「苦しいときも、良いときも曹さんの言葉は心に響くんです。僕らはサッカーを通して、人生の勉強をしています。だから、いろんな人にも見てもらったほうがいいと思って」
音声だけでも胸を打った。
しばらくしてクラブスタッフと相談し、曹貴裁監督に掛け合い、許可をもらった。最初はICレコーダーを設置し、ミーティングの声だけを拾っていた。音声を聞くと、選手たちの話どおり、心を打たれるものだった。
'14年シーズンからは試合前のロッカールームに入り、監督と選手が映る場所に小さな無人カメラを置いた。監督、選手たちが到着する前に録画ボタンを押しているのだ。
1シーズンのデータ量は膨大なものとなり、編集作業には途方もない時間がかかる。どの場面を使用して、どこをカットするのか。信頼できる制作会社と仕事をしているからこそ、成立している。