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湘南のロッカールーム映像がすごい。
怒鳴り合いでもカメラを止めるな!
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2019/04/08 07:00
湘南ベルマーレのドキュメンタリーDVDのワンシーン。監督と選手の白熱した言葉の応酬を目の当たりにできる。
チームが成長するために必要なこと。
緊迫したなか、当時19歳の齊藤未月も物怖じせず、梅崎の反省すべき点を指摘。ミーティングは、それだけでは終わらない。今季、プロ4年目の山根視来は意を決したように先輩、菊地俊介のプレーについて、厳しい意見を述べ始めた。すると、沈黙を守っていた曹貴裁監督も口を開く。いったい、どうなるのか――。
百聞は一見にしかず。これ以上の詳細はDVDの本編に譲るが、本音と本音のぶつかり合いはドラマを超えたドラマと言ってもいい。当事者の1人、梅崎は「『スクール☆ウォーズ』みたいな感じでした」と冗談まじりに振り返ったが、すぐに真顔になって言葉を付け足した。
「本気になって言い合う機会があるからこそチームって、成長していくんだなと思いました。試合に勝つために、どれだけエネルギーを高め合っているのかをみなさんにも知ってもらいたい。日々のものが凝縮されているのがロッカー。僕らも言い争うことはあります。甘い世界ではないので。物事って、簡単には進みません。きっと、社会でも通じる部分があると思います」
「各々が勝つ責任を負えば、あのようになる」。
曹貴裁監督は美化されるのを嫌うが、ロッカーでの出来事は隠すようなことではないという。昨季の話はもう過去のこと。
「昨年、起こったことがそのままにDVDに収録されているだけ。記録です。あのミーティングも、各々が勝つ責任を負えば、あのようになる。何が1番大事かって、チームの成長であり、勝利。選手たちは組織のこと、チームのことを思って、発言している。本気でやるのか、仲良しで終わるのか。一人ひとりが責任を負い、一人ひとりが答えを出した」
その翌週に連敗はストップし、そこから5戦負けなしでチームは徐々に盛り返していった。山あり谷ありのシーズンのなか、10月にはルヴァン杯優勝、最終節では見事にJ1残留を果たす。感動と歓喜があふれるなか、'18年のDVD作品は最高のエンディングを迎えた。