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世界がアーモンドアイにお手上げ。
凱旋門賞で唯一の心配は臨戦過程。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/04/02 16:00
世界のホースマンが、アーモンドアイの動向に注目している。今回の勝利でその熱はさらに上がっただろう。
世界中がアーモンドアイに注目している。
2着に敗れたヴィブロスの手綱を取ったミカエル・バルザローナ騎手も「満足のいく競馬が出来ました。勝ち馬が強過ぎただけです」と言い、お手上げのポーズをとった。
思えばレース前から現地での注目度も半端ではなかった。水曜日の最終追い切り時には、外国のプレスが騎乗したルメール騎手や見守った国枝調教師を次々と囲んでコメントを求めた。毎朝顔を出した白髪の指揮官は、地元はもちろん、アブダビやトルコのテレビ局からもマイクを向けられ、その都度英語で応対をしていた。
私も多くの外国人関係者から逆質問をされた。ドバイターフにマジェスティックマンボとユーロンプリンスの2頭を送り込んだ南アフリカのマイク・デコック調教師は、自分の馬達のコメントを述べた後、「でもアーモンドアイにはかなわないだろう」と苦笑して語った。
ウートンを出走させたチャーリー・アップルビー調教師も「前哨戦で良い競馬をして本番が楽しみになったと思ったけれど、アーモンドアイが来るとは運がない」と言い、両てのひらを上に向けて笑った。
また、ドバイワールドカップにヨシダで挑んだアメリカのウィリアム・モット調教師の子息にあたるリリー・モット調教師補佐は、次のように語った。
「自分のレースとは関係ないけど、今回はアーモンドアイを見るのが楽しみなんです。ヨシダも同じ日本産。日本馬が世界レベルである事はよく分かっていますからね」
唯一の不安は、レースの消耗度。
このように世界中のホースマンが注視する中で横綱相撲を披露したアーモンドアイ。しかし、唯一暗雲が立ちこめかけたのは、やはりレース直後の事だった。
レースを終えて口取り写真の撮影を行った同馬を、陣営はすぐに引き上げさせた。世界各国のカメラマンが「えぇ、もう?!」と帰厩するのに待ったをかけようとしたが、その時、最強牝馬の四肢は小刻みに震えていた。オークス、秋華賞、そしてジャパンCでもそうだったが、レース直後にどっと疲労が出るのだ。