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イタリアを変えるユーベの19歳FW。
W杯を逃す失態はもう許されない。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/04/03 17:00
EURO2020へ向けた予選で2連勝スタートのイタリア代表。北西部ヴェルチェッリ生まれの19歳ケアンはユベントス下部組織で育った。
失意のイタリア、逆襲が始まる。
EURO予選のグループJは、ギリシャとボスニア・ヘルツェゴビナを交えた三つ巴とされている。まず各グループ上位2カ国に出場権が与えられるため、油断さえしなければイタリアの予選通過は堅いだろう。
アズーリは「1-0(ウノ・ア・ゼロ)」の美学を完全に捨てたわけではない。
だが、世界を4度も制した彼らが1年半前にW杯出場を逃したショックは相当に深かった。失望の深淵から這い上がるには、新しい力と発想が必要だ。
早くも“イタリアのムバッペ”と呼ばれ始めたケアンは、代表戦直後に戻ったクラブでも存在感を見せつけた。
29節でエンポリを迎えたユーベは、クリスティアーノ・ロナウドとFWパウロ・ディバラを故障で欠いたことで、17位相手に大苦戦。“老貴婦人”を救ったのは、後半途中から投入されるや否やファーストプレーで1-0となる決勝ゴールを奪ったケアンだった。
翌日の地元紙紙面では「アッレグリはケアンをより積極登用して爆発的成長を促す方がいいのではないか」という声が噴出した。代表を含めると8日間で公式戦3戦3発のケアンは今、急成長を続けている。
「僕が破るべき記録はまだまだある。(心と体の)準備はできている」
アズーリの逆襲が始まった。
6月にはギリシャとボスニアとの直接対決が待ち構える。今季のセリエA最終盤は、ケアンらミレニアム世代アズーリの成長から目が離せない。