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敵、仲間、そして野球人として。
MLBが示したイチローへの敬意。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2019/03/31 11:30
2009年、球宴に出場したイチローとマドン監督。イチローはこの年にWBC連覇に貢献、シーズンでも27試合連続安打、MLB通算2000本安打を記録。
大記録も引き際も見守ったメルビン。
'03年から2年間、マリナーズの監督としてイチローと接したアスレチックスのボブ・メルビン監督にとって、イチローとの思い出は尽きない。
「イチローは、私が指揮した選手の中で、最も頼れる選手だった」
'04年には、年間262安打のシーズン最多安打を目の前で見守り、258本目の新記録達成直後は真っ先にグラウンドへ飛び出し、抱擁して祝福した。
「一日中、一晩中、彼が考えているすべてのことは、次の試合のことだった」
その後、アスレチックスの監督となったメルビンとイチローは敵同士ながら、対戦するたびにあいさつを交わしてきた。昨年9月、シーズン最後の試合では、グラウンド上で15分間ほど話し込むなど、今も2人の信頼関係は変わっていない。
そして、今回の日本開幕2連戦で対戦した。
イチローの引き際を見守ったメルビン監督は、万感の思いで最後のユニホーム姿を目に焼き付けた。
「間違いなく、イチローは野球界の歴史の中で、最も偉大な選手の1人だと思う」
去りゆく者に対する感傷的な思いだけではない。
イチローに対する尊敬の念、数々の実績は、日本だけでなく、野球発祥の地・米国でも広く、深く、刻み込まれている。