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初代表・鎌田大地は“くそガキ”だった。
才能に惚れたスカウトが明かす秘話。
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph byJFA/AFLO
posted2019/03/22 12:00
鎌田大地のティーンエージャー時代はやんちゃだったという。牛島がほれ込んだ才能は日本代表でどんな化学反応を生み出すか。
シュートがなぜか入っちゃう。
シント・トロイデンで鎌田は眠っていた本来の姿を取り戻した。ブライス監督はプレーを目にし、「トップ下よりもストライカーに近い。彼には自由を与える」とポジションの変更を決断したという。
MFよりもFWに近い9.5番。Jリーグではパサーの印象が強いが、高校時代は違ったという。4年前のプロデビュー当時、牛島は「僕のイメージはパサーではないんですよね」と言っていた。当時は「?」だったが、今なら納得できる。優しさを内包しつつも、鋭い眼力を持つスカウトは言う。
「高校とプロでレベルの差があるけど……シュートがね。GKが反応してもなぜか入っちゃう。大地のシュートがGKを上回る。タイミングを外す独特のセンスがあるのか。だから、今でもパサーのイメージじゃない。裏に抜け出して点を取ったり、GKを抜いたり。ベルギーでのプレーは高校時代に近いかも」
「大地は自分のことなんてもう……」
高校3年時。高円宮プレミアリーグウエストでチームは最下位ながら、獅子奮迅の働きで得点ランキング4位の10得点をマークした。
「すべてのプレーが予想を覆す」
ベルギーで、その休眠していた本能が呼び起こされた。今季のリーグ戦では24試合12得点。一方、アシストは2だ。対峙するDFを手玉にとり、GKは予測を外される。そうしてゴールを積み重ね、日本代表に初めてたどり着いた。
熱を持って獲得した選手が日の丸を背負う――。その感想を牛島に聞くと、こう返ってきた。
「大地はもう自分のことなんて忘れていると思いますよ(笑)。自分はひっそりスカウト活動したいので、あまり名前が出るのは……」