ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
ゴルフ界のホープ、22歳の星野陸也。
目指すは賞金王、PGA、東京五輪。
posted2019/03/22 07:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
ちょっと、忘れないでいただきたい。
海外ツアーのトーナメントが目白押しとなり、日本でも例年通り女子ツアーが沖縄で開幕したこの3月。すっかり音沙汰がないようではあるが、国内男子ツアーもすでに1月、シンガポールでシーズンの初戦を終えている。
確かに4月の第2戦(三重・東建ホームメイトカップ)までに3カ月もの空白期間があるため、純粋に“シーズン中”とは言い難い。とはいえ、こんな空き時間をどう捉えるかで、プレーヤーの行く末は左右されるもの。安穏とリスタートの時を待つか、じっくり作戦を練って鍛錬するか、あるいは職場を他に求めて海を渡るか。選択は自由で、無数にある。
昨年の日本男子ツアーは多くのプロにとって飛躍の1年になった。24試合(北海道地震のため中止となったANAオープンを除く)のうち、13人が初優勝。また、10試合で20代の選手が勝った。賞金王のタイトルは今平周吾が初の獲得。26歳での戴冠はツアー史上5番目の年少記録だった。
一方で、年間1勝で賞金王になった事実は、青木功が頂点に立った1976年以来の珍事でもあった。2勝したのは秋吉翔太と市原弘大の2人だけ。
そして、日本でのツアー初優勝者のうち、同年の海外メジャーで予選を通過した選手はいなかった。毎試合、誰が勝つか分からない群雄割拠の時代といえば聞こえがいいが、さらなるレベルアップを期待されているのは間違いない。
鳴り物入りだった星野の焦燥感。
そうは言っても、彼らがみな現状に満足して泰然たるかと言えばそうではない。話を聞けば、焦燥感に駆られているプレーヤーも確かにいる。
22歳の星野陸也は昨年9月、フジサンケイクラシックで初優勝を飾った。
2016年の夏場、日大を2年時に中退してプロ転向。その年の末に最終予選会をトップで通過して翌年のシード権を掴むと、鳴り物入りでレギュラーツアーに飛び込んだ。
本格参戦1年目、賞金ランキングは31位。そして昨年は初勝利も後押しになり7位。瞬く間にトッププロの仲間入りを果たした印象だ。
一昨年から“スーパールーキー”と注目され、初勝利を待ち焦がれた思いは本人よりも周囲の方が強かったかもしれない。