“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
無敵のサイドバックへ着実に成長中!
FC東京・室屋成、骨太なサッカー道。
posted2019/03/08 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「攻撃面を言われることが多いですが、個人的には守備も得意だし、めちゃくちゃ攻撃型でもないので、試合に応じて変化できることが自分の良さだと思います」
FC東京、日本代表のサイドバックである室屋成は、J1第2節のアウェイ・湘南ベルマーレ戦後にこう口を開いた。
右サイドバックとしてフル出場した室屋は前半、積極的に高い位置を取って、精度の高いクロスを供給したりバイタルエリアに顔を出してポゼッションに参加をするなど、攻撃的な姿勢を見せていた。
2-1で迎えた49分のカウンターでは右サイドを疾走すると、ディエゴ・オリベイラのスルーパスに抜け出して、中央に飛び込んできたMF久保建英に正確なダイレクトクロスを送り込んでいる。完全フリーとなった久保の強烈なシュートは湘南GK秋元陽太の正面を突くが、弾いたこぼれ球がスライディングブロックに入っていたDFの手でコントロールされたということで、ハンドの判定。これで得たPKをディエゴ・オリベイラが決めて、湘南を突き放した。
直後の51分にも久保が右サイド深くまでドリブル突破すると、そのすぐ後ろから全力疾走でサポートし、久保が角度の厳しい位置からシュートを放った時には、すでにペナルティーボックス内でフリーでシュートを打てるポジションまで入り込んでいた。
絶妙なポジショニングで全体を調整。
3-1になってからの室屋は、むやみに上がることを控え、後ろでCBとボランチの動きを視野に入れながら中に絞ったり、ボランチのサポートに入ったりと、絶妙なポジショニングで全体のバランスを整える役割に徹した。
「湘南は最後までハードワークしてくるチームだし、リードを奪われたことでかなり前に強く来ると思った。なので試合終盤は気持ちを守備に切り替えて、シュートブロックと、こぼれ球の反応を意識しました」
55分に左からのクロスが流れてきたところを反応し切れず、湘南MF武富孝介に1点差に迫るヘッドを決められてしまったが、そこで全体のバランスが崩れないように目を配る動きを見せていた室屋。
ポジショニングで穴を埋めるだけではなく、ボックス内に入られたら鋭い寄せを見せたり、身を挺したシュートブロックも見せていた。
後半アディショナルタイムはゴール前の混戦から、DF大野和成に決定的なシーンを作られるが、大野のシュートコースに飛び込んでいたのは、やはり室屋。
ゴールに身体の正面を向けていたその後ろにボールが流れるという難しい状況だったが、右足を精一杯伸ばしてシュートコースを消したからこそ、大野のシュートは大きく枠を逸れていったのだ。