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<全仏オープンプレビュー>錦織圭「赤土に見えた復活の手応え」 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2018/05/25 15:00

<全仏オープンプレビュー>錦織圭「赤土に見えた復活の手応え」<Number Web> photograph by Getty Images
久しぶりに見せた、錦織らしい錦織の姿。 クレーシーズンに入って、トップ10と互角の戦いをできるようになってきた。 全仏に向けて、復活への歩調は速まっている。

 今の錦織圭が目指すのはトップ10への返り咲きだ。当面の目標に向けて、大事な試合が続いている。4月にはモンテカルロ・マスターズでトップ10選手のマリン・チリッチとアレクサンダー・ズベレフを続けて破った。決勝でラファエル・ナダルに完敗したが、準優勝でランキングは22位に浮上、目標への歩調はかなり速まった。

 ガス欠でバルセロナは2回戦を途中棄権したが、その分、しっかり調整してマドリードに乗り込んだ。ところが、よりによってマスターズ大会の1回戦で元世界1位を引き当ててしまう。第10シードのノバク・ジョコビッチだ。

 ただ、ジョコビッチにとっても悪いドローであるのは同じ。ノーシードに紛れ込んでいる錦織は、1回戦で当たりたくない選手の筆頭格だろう。現に試合後のジョコビッチは「我々どちらにとっても大きな試練だった」と話した。元王者の復活へのプロセスは錦織より歩みが遅く、今は停滞状態。停滞より、迷走が適当か。今季は5大会に出場し3大会で初戦敗退。アンドレ・アガシとの師弟関係を解消、モンテカルロからマリアン・バイダコーチやフィジオなど長年の盟友が陣営に戻り、クレーコートシーズンに新規まき直しを懸けた。だが、モンテカルロは3回戦止まり、直近のバルセロナは1回戦、となれば、錦織戦には背水の陣で臨んだはずだ。

 背負う物が重い分、序盤はジョコビッチのプレーに硬さが目立った。強い球を打とうという意思は見て取れたが、時折棒ダマになり、制球力を欠いた。だが、そのジョコビッチを錦織が突き放せない。第1セットはブレークで3-2としたが、すぐにブレークバックを許した。荒れ球のジョコビッチだがボールは深く、錦織が先に仕掛ける機会は少なかった。逆に主導権を握ろうと少しずつ無理をして、ミスが増えた。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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