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<女子フィギュア 平昌への聖戦>本郷理華「痛みを芸術に変えたフリーダのように」 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2017/10/27 06:00

<女子フィギュア 平昌への聖戦>本郷理華「痛みを芸術に変えたフリーダのように」<Number Web> photograph by Asami Enomoto
日本のフィギュアスケート史上、かつてこれほどまでに厳しく、美しく、そして純粋な戦いがあっただろうか。 平昌五輪代表の2枠を、7人の女子選手が競い合う。 青春のすべてをかけてジャンプを磨き、表現力を高め、世界のトップを狙う力をつけた、奇跡の少女たち。 運命の今季、7色の個性が氷上に鮮やかな虹をかける。 Number938号より本郷理華選手のインタビューを特別に掲載します。

 苦しかった昨シーズンを乗り越え、「今は練習が楽しい」と言う。  新プログラムのモチーフである女性画家フリーダ・カーロのように、ただひたすらに前を向いて、本郷は自らの表現を追い求めていく。

 9月、長年指導を受けた長久保裕コーチが、拠点の邦和スポーツランドを去った。

「先生からは事前に何も聞いていませんでした。ある日、練習に行ったらほかの先生から『退任された』と聞いてびっくりでした。もともと無口なので、長久保先生っぽいというか。でも邦和にはたくさん先生がいますし、変わらず練習を続けています」

 そう言って本郷理華は笑う。久しぶりの笑顔だった。それほどまでに、昨シーズンは苦しい1年だった。

 長い手足が生むダイナミックな演技で、GPファイナル進出など華麗なデビューを飾ったシニア1年目。世界選手権で自己ベストを出すなど充実した内容の2年目。そして、さらに高みを目指すはずだった3年目の昨シーズンに、どん底を味わった。GPシリーズは表彰台に上がれず、全日本選手権も5位。宮原知子欠場の代役で出場した四大陸選手権では10位、世界選手権も16位に沈んだ。原因は、シーズン開幕前に負った左足首骨挫傷だった。

「やりたい練習ができず、『ちょっと痛いな』と常に気にかけている状態で、演技のレベル全体も下がっていた気がしました」

 ただ、大会で結果が出なくても、怪我を言い訳にはしなかった。

「いい演技ができない理由は、怪我がすべてじゃない。怪我していても、もっと工夫できるところがあると考えていたんです」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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