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「大谷翔平がそうだろ。これがプロだよ」セルジオ越後が6年前に語っていた“日本サッカーに辛口である理由”
text by
武智幸徳Yukinori Takechi
photograph byToshiya Kondo
posted2021/07/28 11:01
6年前のインタビューで、「辛口批評をする理由」を明かしていたセルジオ越後氏
「会社を作りたくて銀行に行っても1回目は相当プレゼンしなければ金を貸してくれないよ。貸してくれたら会社をスタートできるけれど返済期限はすぐにくる。返さなかったら利息が膨らむから大変よ。でもね、ちゃんと借りたものを返したら次からは銀行が貸しに来るの。もっと大きな額を。野球の大谷(翔平・日本ハム)がそうだろ。これがプロだよ。年俸というのは今年もクラブから借金してサッカーができる権利をもらったという意味なの」
そうやって危機感に乏しい選手に、協会にクラブにメディアに、耳の痛い話をするのは「ためを思って」のことである。
「ジーコもドゥンガも怒ってアントラーズやジュビロを強くしたよね。まあ、あきらめないで言い続けるよ。プロの火が消えないよう頑張らないと。ちょっと火が小さくなってきているからさ」
日本では一度消えた火が再びともることはない。それはチームが消える原体験とも結びつく、セルジオが日本で最初に学んだことである。だから今日も叱咤する。
セルジオ越後(Echigo Sergio)
1945年7月28日、ブラジル・サンパウロ生まれ。'64年にコリンチャンスとプロ契約を結び、'72年に来日。'78年からは「さわやかサッカー教室」をスタートさせ、評論家としても各メディアで活躍。アイスホッケーの日光アイスバックスの運営やアンプティサッカーの普及にも携わる。
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