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<弱くても勝てます?>開成高校「もうひとつの勝利至上主義」 

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高橋秀実

高橋秀実Hidemi Takahashi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/08/20 06:00

<弱くても勝てます?>開成高校「もうひとつの勝利至上主義」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama
『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』を昨年、上梓。
 その独自の兵法と個性に魅かれ、甲子園出場を願う著者に、監督は告げた。
「今年は史上最弱のチームです」。そんな超進学校の2013年、夏。

 7月7日、神宮球場――。

 いよいよ甲子園出場を賭けた夏の戦いが始まる。私は指折り数えてこの日を待っていた。今年こそ甲子園。ほうぼうでそう吹聴してきたということもあり、何やら勝たせる責任さえ感じていたのである。

 開成高等学校。言わずと知れた超進学校で毎年、日本一の東大合格者数で話題になるのだが、それより注目すべきは同校の硬式野球部だ。平成17年の東東京大会でベスト16に入り、その翌々年も4回戦まで進み、修徳高校(同年の準優勝校)に惜敗。しばらく低迷するが、昨年も4回戦進出を果たし、その勢いから察するに甲子園はかなり近づいている。開成流に表現するなら、確率は低いが可能性は高まっているのである。

 数カ月前、同校の青木秀憲監督は私にこう宣言した。

「今年は史上最弱のチームです」

――ん?

 一瞬そうつぶやいてしまったが、気を取り直して私は「よし!」と拳を握った。「弱くても勝てる」というのが開成の信条である。中途半端に弱いと、弱いという自覚を忘れ、小賢しい野球になる。弱ければ弱いほど開成の本領が発揮されるわけで、「最弱」なら間違いがない。常識的には考えにくいことかもしれないが、常識を覆してこそ開成野球なのだ。

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