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真摯な鍛錬と勇気のタックル。慶大ラグビーは奇跡を起こすか。~巨漢もスターもいないが、心を打つチーム~
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byKenji Demura
posted2017/11/23 17:00
帝京大戦でDFの中を突き進む慶大のLO佐藤大樹主将。積極果敢な攻撃と粘り強い守備で絶対王者を追い詰めた。
「黄色と黒は勇気のシルシ」
バブル時代のCMフレーズが頭をよぎった。低く突き刺さるタックル。骨のぶつかり合う鈍い音。倒れてはすぐ起き上がる。ピッチからは、タイガージャージーの発する「熱」が立ちのぼる。
11月5日、相模原市の麻溝公園。緑に囲まれたギオンスタジアムへ、多くのメディアは「遠いなあ」とボヤきながら駆けつけた。関東大学対抗戦で4戦全勝同士の対決となった帝京大vs.慶大だ。数時間後、同じ人たちが「いい試合だったね」と満足げに言った。前週、不利と予想された明大戦に28-26で競り勝った慶大は、この日も低いタックルを勤勉に反復して常勝軍団に対抗。相手ボールを奪っては果敢なカウンターアタックからトライを重ねた。帝京大は前半38分に今季初のPGを選択。最終スコアは王者・帝京が31-28で逃げ切ったが、挑戦者は観衆の熱い拍手を浴びた。