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休場力士が続出する夏巡業。今こそ公傷制度の見直しを。~年々巡業の日程が過密になり、負担は増加の一方~
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKYODO
posted2017/08/20 17:00
7月30日、岐阜での夏巡業に横綱で一人参加した白鵬は「自分も休んだことがあるし、持ちつ持たれつ」と語った。
一年を二十日で暮らすよい男――。江戸時代の相撲取りをうたった川柳だ。その昔、彼らは1年のうちに20日間ばかりの興行で暮らしていたのだという。
昨今の人気で、今夏の巡業は23日間も開催されるが、休場力士が続出だ。稀勢の里、日馬富士、鶴竜の3横綱、照ノ富士に人気力士の遠藤に宇良、石浦、臥牙丸、蒼国来、十両でも5人の力士がいずれもケガの治療で巡業に不参加。各地での前売りチケットはおおむね完売だというが、お目当ての力士の姿が見られず、ファンもさぞ落胆することだろう。
しかし、巡業不参加力士のほとんどが、本場所の土俵上でのケガを理由とする。巡業も大事な仕事ではあるものの、やはり番付を左右する本場所こそが力士にとっての“大舞台”だ。2カ月に一度の本場所でいかんなく力を発揮すべく、合間の巡業を休んで治療に専念するのも致し方ない。