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日本柔道の新エースへ。阿部一二三の
見せた覚醒。~19歳は、試合前に
めいっぱい息を吸う~
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKYODO
posted2016/12/16 17:00
2年ぶりの優勝に阿部は「野村(忠宏)選手のように五輪でも圧倒的に勝ちたい」と語った。
口をめいっぱいに開け、閉じる。
野心を胸に詰め込んだ19歳が試合直前に繰り返すルーティンには、緊張をほぐすだけではなく、邪念を吐き出し、さらなる英気を吸い込む効果があるようにも見える。
柔道男子66kg級の期待の星、阿部一二三(日体大)が、12月2~4日に行なわれたグランドスラム(GS)東京で胸のすくような投げ技を連発して見事優勝。兵庫・神港学園高2年だった'14年、シニアの国際大会初参戦となったこの大会で衝撃的なデビューを飾って以来、2年ぶり2度目の優勝を果たした。
得意の投げ技が炸裂した。初戦の2回戦に袖釣り込み腰で一本勝ちすると、準々決勝、準決勝でも切れ味のある動きを持続し、危なげなく勝ち進んだ。