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合同テストで新型車を出さない!?
マクラーレンが“秘密兵器”導入か。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2011/01/29 08:00
ドライバーから見て、ヘルメットの前方左側のフロントノーズ上にある小さな四角い穴がFダクトの空気取り入れ口。リアウイングの表面に空気を送ることで失速させ、空気抵抗を軽減する
新採用のタイヤをテストする必要があるはずだが……。
開幕までの合同テストの日程は以下の通りである。
2月1日(火)~3日(木) スペイン・バレンシア
2月10日(木)~13日(日) スペイン・ヘレス
2月18日(金)~21日(月) スペイン・バルセロナ
3月3日(木)~6日(日) バーレーン
バレンシアは低速コーナーが多く、ハイダウンフォース・サーキット。
ヘレスは平均速度は中高速型だが、ヘアピンがあるため、リアのトラクションの良し悪しを見極めるのに最適なサーキット。対照的に中高速コーナーが多いバルセロナはフロントの旋回性が重要となる。そして開幕直前のバーレーンは寒いヨーロッパを離れて、温かい気候で最終チェックを行う舞台として最適となる。
さらに今年からタイヤは全チームでピレリに変更されたので、少しでも多くの実走行テストを行いたいという事情もある。
各テストに持ち込まれるタイヤのスペックは必ずしも同じではないため、開幕前に4種類すべてのスペックのタイヤをテストしたいのであれば、最初の合同テストから参加しようと考えるのが当然だろう。昨年ダブルタイトルを獲得したレッドブルをはじめとしたすべてのトップチームが、バレンシアで顔を揃えることとなるのはそのためである。
あえて時期を遅らせてお披露目するマクラーレンの意図。
ところが、そんな状況にあってトップチームで唯一、最初のテストに新車を持ち込まないチームがある。
それはマクラーレンだ。
マクラーレンの新車発表の予定は2月4日。最初のテストは昨年型マシンのMP4-25に改良を施したハイブリッド車になると言われている。
トップチームともあろうマクラーレンが、なぜ最初のテストに新車を持ち込まないのか。
理由は2つ考えられる。ひとつは昨年11月中旬に行った初のピレリテストで問題が発覚したために変更を余儀なくされ、開発作業に大きな遅れが生じたという事態である。ただし、2月4日という発表が1月上旬とかなり前に決定されていることから、単なる遅れが原因だとは考えにくい。むしろ、あえて遅らせて2度目のテスト地となるヘレスで新車をデビューさせようという節がある。