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合同テストで新型車を出さない!?
マクラーレンが“秘密兵器”導入か。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2011/01/29 08:00
ドライバーから見て、ヘルメットの前方左側のフロントノーズ上にある小さな四角い穴がFダクトの空気取り入れ口。リアウイングの表面に空気を送ることで失速させ、空気抵抗を軽減する
「Fダクト」を上回る画期的な秘密兵器を隠している?
マクラーレンは昨年も「Fダクト」という新しい空力システムをいきなりテストで披露している。
そして、それは瞬く間にライバルたちに模倣され、アドバンテージを失っていった。今年はレギュレーションによってFダクトは禁止されたが、Fダクトを生み出したエンジニアたちが、何か新しいアイディアを発見したとしても不思議はない。そして、それをライバルたちの目から少しでも隠そうとしていると考えるのは……深読みしすぎだろうか。
たとえ、そうだとしても新しい空力システムがきちんと作動するかどうかは、やはり実車による試験が必要ではないかと考える方もいるだろう。しかし、現在のF1のトップチームは数億円もするドライビング・シミュレーターをファクトリーに備えており、仮想空間でエンジニアが空力パーツのセッティングを変えて、精度の高いデータを収集することができる。つまり、秘密兵器をギリギリまでファクトリーに隠しておくことも、現在のF1のトップチームならば可能なのである。
もうすぐ始まる2011年のF1の新車発表会。
今シーズンを占うのは、トップチームの中でトリを務めるマクラーレンのニューマシンを見るまで待たなければならないようだ。