Jをめぐる冒険BACK NUMBER
浦和オリヴェイラ監督に訊く・後編。
「別格のサポーターとともに戦う」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2019/02/21 17:30
昨年の天皇杯優勝後、スタンドに向けてタオルマフラーを掲げるオリヴェイラ監督。その一挙手一投足がサポーターの心を掴んでいる。
私はフィジカルコーチとして……。
――もともとフィジカルコーチをされていましたが、その経験はどういったところで生かされていますか?
「もちろん、その経験を生かしています。そもそも『監督・オリヴェイラ』と『フィジカルコーチ・オリヴェイラ』を比べると、私は『フィジカルコーチ・オリヴェイラ』のほうが、能力が高いと思っていますから(笑)」
――本当ですか(笑)。
「だから、私の練習では、フィジカル的なインテンシティやボリュームを上げてトレーニングしている様子が見られるはずです。そこで整えたコンディションをもとに、シーズンを戦い抜くわけです。
また、トレーニングでは選手たちに全力を出させるようなオーガナイズをしています。選手には持てるものすべてを出し切ってもらいたいし、そうすることで、技術が高まり、戦術の理解が深まると考えているのです」
――コンディションを監督自ら設計できる、というのは、まさにフィジカルコーチを経験している強みですよね。
「そのような部分もあるかもしれません。でも、私はいろんな監督から学んだコンセプトを生かしています。最近いろんな戦術がありますが、まだそれがネーミングされる前から、私が行なっていたものもあります。
例えば2003年頃、私は『相手ゴール付近でのボールの奪い返し』という戦術を採用していました。名前が長くて話すのが大変でしたが(笑)、最近は『ハイプレス』とシンプルに呼ばれるようになりました。ただ、そのコンセプト自体は昔から行なっていたのです」