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世界で戦う佐々木歩夢の夢――。
まずはMoto3で初優勝、年間王者に!
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2019/02/17 11:00
MotoGPの中上貴晶をはじめとして、Moto3では佐々木歩夢、鈴木竜生、鳥羽海渡、真崎一輝、小椋藍らが参戦する。
マルケス越えを宣言したビッグマウス!
3年前、「ルーキーズカップ」でチャンピオンを獲得したばかりの佐々木をこのコラムで紹介した。
そのときに佐々木は、「マルケスが20歳で最高峰クラスのMotoGPクラスで史上最年少チャンピオンを達成したのなら、僕は19歳でなってみせる」と言った。
自らをビッグマウスと評し、「それは自分へのプレッシャーだ」と語っていた佐々木だが、そのビッグマウスは、Moto3を戦うようになったこの2年間は「封印」してきた。
それだけ世界の壁に苦悩してきたことを窺わせるが、昨年のシーズン終盤は、世界一を狙う安定した速さを見せるようになった。それが自信になったのだろう。
今年は、佐々木らしい、元気なコメントが聞けるようになってきた。
魅力あるライダーというのは、往々にして、言い訳をしない。佐々木もそのひとり。
だめだったレースや負けたレースでは、その悔しさをこらえるのが精いっぱいなのだろう。そして、悔し涙を見せたくないのか、どこにいるんだろうとみんなが探し回るほど、姿を隠す。
今回のグアムキャンプでも、究極の負けず嫌いな一面を何度も垣間見せてくれた。
ペトロナスやレッドブルからの支援。
佐々木が所属するのはマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットが運営する「ペトロナス・スプリンタ・レーシングチーム」。今年もマレーシアの石油会社ペトロナスがタイトルスポンサーとなる。
佐々木は、小学生のときにインターナショナルスクールで英語を覚え、「アジア・タレント・カップ」「ルーキーズカップ」の育成シリーズのころから言葉で困ることはなかった。レッドブルがタイトルスポンサーをつとめる「ルーキーズカップ」でチャンピオンになった翌年からは、レッドブル・アスリートとしてサポートを受ける日本では数少ない選手となった。